他愛がない

日記が置いてあります。タイトルと中身はあまり関係ありません。短編小説も書いてます(https://kakuyomu.jp/users/mezounagi/works)。 twitter:@mezounagi mail:mezounagi★outlook.jp(★→@)

お前は私が倒す

メンタルから「そろそろ外に出ないとやばいぞ」というシグナルを受信したので、夕方も暮れたところで手近な国道をひたすらに辿る散歩に出ていた。賑やかしい方面から遠ざかったつもりではあったのだが、そこは東京、大体どこへ行っても都市部みたいなものなので、でっかい交差点やら高架やら色々あった。その交差点で信号待ちをしていると、近くに大学らしき施設があったからなのか、目の前でお若いカップル様がいちゃいちゃし始めた。いちゃいちゃし始めた。頭をすりすりしたり、頭をすりすりしあったり、二人して「えへ、えへ、えへへへへ」みたいな顔をしたかと思ったら突然ちゅーしたり。目前で繰り広げられる光景に、何だコレはと思わずして何を思えばよかったのか。なお、この場面に遭遇した私の胸中には、爆発とか爆裂とか爆散とか、そういった類の言葉は浮かんでこなかった。純粋にそれらの言葉がアウト・オブ・デイトな事もあるだろうが(めっきり言っている人を見かけなくなった)、そのカップル様が男女ともになんとも言えない程度の顔面をしていたからではないかと考える。中で庸で、並で平な凡である。ユーシッツ、エクスプロードとは思わない。ただ、「うわぁ……うわぁ……」としたくもない後悔を背負わされ、目を背けるという労働を押し付けられるだけである。意味が変わるかもしれないが、見ていられないのである。色んな意味で。未だにあの情景に対してはうわぁ……以外の感想がない。脳味噌のメモリーを無駄に食われたのが腹立たしい。以下はいつもの世迷言である。世に迷えるだけ、迷う世が手近にあるだけ、幸せなのかもしれないしそうではないのかもしれない。悪役が主人公格にやられて退散する時に、こてこてのテンプレートに則って口上を述べた場合、私としては一番しっくりくるのは「覚えてなさい!」「覚えてろよ〜!」というシリーズである。自分の事をしばき倒した相手に対して記憶の保持を求めるとは大層図太い神経をしているものだと思うけれども、大変可愛らしいものである事は間違いない。見送る側としても、「そんな事言われてもお前らみたいな雑魚をいちいち覚えてられるかカス」と嗜虐的な笑顔を心の中で浮かべていられるので、勝者を立てる敗者としての役回りはばっちりこなしていると言っていいだろう。で、この「リメンバーミー」的なセリフを、誤って「覚えててよ!」と言ってしまうキャラがいたら、好きになっちゃうんじゃないかという事を言いたかったのだ。「覚えてろよ!」ではなく、「覚えててよ!」である。ちっちゃい女の子みたいだ。末尾に(ぷんぷん!)とかついていそうで、胸がときめく。ツンデレっぽいからだろうか。よく分からないが。尻尾を巻いて逃げる「覚えててよ!」を見遣る視線の、満ち足りた優越感よ。