他愛がない

日記が置いてあります。タイトルと中身はあまり関係ありません。短編小説も書いてます(https://kakuyomu.jp/users/mezounagi/works)。 twitter:@mezounagi mail:mezounagi★outlook.jp(★→@)

out of date

近所に「古き良き」と形容するに全くの躊躇いを覚えない、個人経営感100パーセントの文房具屋がある。店先に「当店オススメの電卓!!!」という時代感覚がバグっている商品が掲げてあるのが本当に面白い。980円の電卓を、結構変な場所にあるもっさりした文具屋で買おうという気が起きるその瞬間に、あの店は寄り添ってくれる。メーカー別にオススメもしているが、日に当たりパッケージがゆるゆると退色しているのも大変風情がある。ものすごくいいと思う。買い物をした事はないが。京王井の頭線高井戸駅を出てスーパーオオゼキの方向へ向かう道すがらにも、同じような雰囲気の個人文具屋が存在する。絶妙に買う気の起きないファイルと、学園祭的なイベントのたびにまとまった需要が生まれるマッキーの多色入りパッケージが特売されていて、見ているとものすごくむずむずした心地になる塩梅のラインナップだ。で、私のお家の近所にある方の文具屋なのだが、ステーショナリー系の店には必ずあるあれ、「オーソドックスな苗字のハンコ全部入ってるボックス」もちゃんとある。1万ともう少しあるらしい。あのハンコ、年間で何本売れて、一番売れている苗字は何なのかなどちまちま気になる事はあるけれど、そのボックスの横に、「指名認印おつくりします」という張り紙が追加されていた。なるほど、確かに、三文判では受け付けられない場面も相当数世の中にはあるし、「大体の苗字収納ボックス」に入っていない苗字だって少なからずあるだろう。私のだって、注文しないと絶対にない。その優しさはふんわりと受け止めるとして、「指名か〜、指名か〜、指名って書いちゃったのか〜」と思わざるを得ない。おそらく、正しくは、「氏名認印おつくりします」だろう。十中八九そうだろう。法的なコンテクストでは指名認印が正しいんですと言われたらはいそうですかと沈黙する他ないけれど、多分氏名の方で正解だと思う。ハンコに彫られた文字は、名前の主であることの証明であるから、そこは間違えないで欲しかったな〜、う〜ん。業者から配布される宣材なのか、カラー印刷なうえフォントもまともだったので、どうしてそうなったのかが大変気がかりだ。そういえば、先日、ちょいとした用事で写真館に行ったのだが、そこのおじちゃんが「写真に文字入れるのどうやんだっけ……?」と自作マニュアルを引っ繰り返していた。「最近はお客さんの方が、字を入れるの上手なんだよ」とも。フォトショップは写真館を不要にしつつあるらしい。そして、その写真館の壁には、千歳飴の袋が3つ、無表情に壁打ちフックでかけられていた。千歳飴って、撮影予約のたびに業者から買い付けるんじゃなく、買い置きなんだな、と知った。