他愛がない

日記が置いてあります。タイトルと中身はあまり関係ありません。短編小説も書いてます(https://kakuyomu.jp/users/mezounagi/works)。 twitter:@mezounagi mail:mezounagi★outlook.jp(★→@)

存在密度の薄いみたらし団子みたいだった

玉こんにゃくを食べた。どうせ玉になっとるこんにゃくなんじゃろ、と思っていたら、本当に玉の形をしたこんにゃくだった。玉とは言っても、「ぎょく」と読む方の玉ではなく、埼玉県の玉である。玉と言っても、球と表現できるほどではなく、玉と言われたら確かにそうかもしれないと納得する程度には玉であった。もちをちぎって、打ち粉の上にぽいした直後くらいの形をしていた。玉こんにゃく。玉こんにゃくをたくさん入れたプールで泳ぎまわったら楽しそうだな、と思うくらいの質感をしていた。泳いで満足する前に、こんにゃくで痒くなって上がるのが先かもしれないが。フライパンで水気を飛ばす工程があったのだが、事前に聞いていたほどの音ではなかった。IHで静かにフライパンが熱され、その上で静かに玉こんにゃくにうっすらとした焼き目がついているだけだった。驚くほどに何もない、静かなプロセスだった。水が飛んだかどうかが分からない。焼き目がつくとは言ったが、目を凝らしてやっと分かるくらいの、ほんのりとした茶色でしかないのだから。前情報から玉こんにゃくにはそれなりのエンタテインメントを期待していただけに、少しだけがっかりしてしまった。なお、タレを加えて煮詰める工程は一瞬で終わる。動物性の生クリームを泡立てている時に訪れる、一瞬のミートポイントくらいすぐ終わる。ふと目を離したら、フライパンが焦げタレは無残にも茶色い苦味の塊と化した。ご飯に乗せて食べたのだが、味がすると認識できるくらいのこんにゃくだった。こんにゃくを食べるたびに、これはこんにゃくの味なのだろうか……? と疑問を覚えるのだけれど、あれは多分こんにゃくの味だったと思う。こんにゃくのテイストは、それをそれだと認識させない、とてもslipperyな味だと思うのだ。かの石川五右衛門も切断できないはずである。こんにゃくみたいにのらりくらりした人間になりたいような気もするが、こんにゃくの封を開けるたびにこうも思う。「こんにゃくってイカ臭いのに似た匂いがするなあ……」と。どこかツンとした、馴染みのある匂いを嗅ぐと、あぁアイツだと思い出す。栗の花がちょうどあれの臭いらしいが、こんにゃくもどっこいどっこいで酷似した臭気を放っている。そういえばこんにゃくに突っ込む人もいるとかいないとか言うから、それほど遠縁なものでもないのかもしれない。今度からこんにゃくを食べる時にはこの事を考えてしまうのだろうな。