他愛がない

日記が置いてあります。タイトルと中身はあまり関係ありません。短編小説も書いてます(https://kakuyomu.jp/users/mezounagi/works)。 twitter:@mezounagi mail:mezounagi★outlook.jp(★→@)

おくたま

悪魔が目の前に現れて、「お前の魂と引き換えに願いをひとつ叶えてやろう」と言われた場合に、私が悪魔にお願いしたい事の筆頭候補に「俺の魂、見せてくんない?」である。自分の魂を、一目見てみたい。私の魂をぶっこ抜くのか投射するのかは知らないけれど、可視化して、「こんなお願いしたから俺の魂お前にあげるけどさ、ほんとにこれでいいの? 俺の魂こんなだけどいいの?」「お前の魂に対するフェチってどんなの? 俺の魂になんか感じる?」などなど、是非に訊いてみたい事がある。男子トイレの小便器の中に吐き捨てられたガムみたいな魂だけど、こんなん貰って悪魔って嬉しいの? とかとか。悪魔が一体どういう点に魂のよさを見出しているのか、一応知ってから引き渡したいものである。そう、この欲求は、石ころを宝石鑑定士に調べてもらう行為に近いものがあるかもしれない。専門家の目から見るとどうなの、実際どうなのよ、と。死んだ時に契約履行、すなわち魂引き渡しのケースが多いので、自分の魂の写真でもチェキして、死ぬまで家に置いておいてもいいだろう。気分が落ち込んだ時、辛くて泣き出しそうな時、自分の魂の姿形を見て強く励まされるという事はまあ十中八九ないだろうが、「あぁ、俺の中にはこれが入っているんだな」と思う事により、ほんの少しだけ苦悩煩瑣に雑念が入り、気が紛れるだろう。この妄想が、あなたの守護霊やら何やらのアレに近い気もするが、こっちは持って行く方、取り扱いのプロが関する事であるから、一応形だけでも悪魔を信じたい。魂……。そんなものを人間から貰って、悪魔たちはどうするのだろう。珍しい形、綺麗な色合いの魂は、サザビーズみたいなところに出品されて、好事家悪魔たちによって大枚叩いてコレクションされていたりするのだろうか。いやー、でも、全部想像だからなあ。さすがに出向かなければいけない用があったので出掛け、そこでの話の内容的に「今日のお昼は外で食べよう、そうしよう」と心が傾いたので、今まで通り過ぎるだけで一度も訪いを入れた事のなかった店に入った。初めて行く店に入るときは、全くの他人の家に這入るようでものすごく、こう、どういう面構えと心持ちをすればいいのか全然分からない。一応、それなりに有名なところらしかった。人生で初めて汁なし坦々麺をきちんとした店で食べた。めっちゃくちゃにしょっぱかったので、これからの人生で再び口にする事はよほどの事がない限りあるまい。厨房でアルバイトらしき店員が作り方の指導を受けるのを、私が持つラーメン屋アルバイターの経験に照らしながら観察していた。店によって色々違うもんだ。