他愛がない

日記が置いてあります。タイトルと中身はあまり関係ありません。短編小説も書いてます(https://kakuyomu.jp/users/mezounagi/works)。 twitter:@mezounagi mail:mezounagi★outlook.jp(★→@)

腸詰めスタイルのプレゼントラッピング

業務用のフランクフルトは、ひとつの正解である。なんか肉が食べたいな〜と思うが早いか、油を引いたフライパンに転がして数分炒めれば肉の塊が完成する。手で挽いて腸詰めしたソーセージやウィンナーを噛み切った際の断面に見える、脂肪や軟骨のカケラみたいなものが一切なく、着色料でピンクに染め上げられた図太い面しかスキャンし得ない。この世界で究極にフラットな存在はいくつかあると思うが、その中の一つとして業務用フランクフルトの断面を挙げなければ嘘になってしまう。それくらい、愛想も可愛げもなくただただ何の肉かよく分からないが肉の断面だ。昼、菜箸でフランクフルトを転がしていると、ある箇所に亀裂が入った。菜箸で刺しちゃったかしら、悪い事したな、と思ったのだが、ただ加熱されて色々がむにゃむにゃした結果、そこが裂け始めただけのようだった。すると、みるみるうちに裂け目が広がり始め、むりむりむりむりっという擬音を当てたくなる様子と速度で、ぱっくりと大きな断裂がフランクフルトを走り抜けた。ぶちぶちぶちぶちっ、だったかもしれない。ともかく、肉の塊が容易く乖離していった。真横から見えるその中身も、やっぱり均一に均質にピンク色だった。もしもフランクフルトが人間だったなら、裏表がなく付き合いやすい事この上ないだろう。皮をめくれば一色しかないのだから。絶対確認しなければいけない情報がアヴェイラブルになりましたよ、と何かしらの形で知らされると、胸の内が死ぬほどざわつく。落ち着かないという概念を抽出して純化して、運動体の形を与えて精神世界を走り回らせているのではないかと思うくらいにざわざわする。ただ、この落ち着かない気持ち、居ても立ってもギリギリ居られるくらいのひりつくような情動を覚えると、生きてるな〜まだメンタル生きてるな〜感受性がちょっとだけでも残ってるわ〜と思う。残ってる! ただ、常にフラットというかミュートした状態で生きていきたい身としては、これまた異常にしんどい状態ではある。長引かせたいのに身体をもじもじしてよじってねじるような羽目になるくらいならさっさと見ちゃえばよかったとラーメンズ『鯨』の「バースデー」みたいな事を言わなければいけなくなってしまう。いやしかし絶対確認しなければならない情報というのは絶対確認しなければ、封を開けて中身を確認し匂いを嗅がなければならないのだから、私の中の悪魔も天使もどちらも「やっちまえよ」と言っている。