他愛がない

めぞうなぎと申します。文字の話です。日記が置いてあります。短編小説も書いてます(https://kakuyomu.jp/users/mezounagi/works)。 twitter:@mezounagi mail:mezounagi★outlook.jp(★→@)

スカイ・ハイ・トゥ・リーチ

ゴミ箱に蓋をしたのに、蓋をあけるとコバエがぶわっと立ち上る様子に「二度ある事は三度ある」という悲しい格言を思い出したので、頭の中でうぞうぞと蛆が再発して這い回る前にコバエがホイホイを買ってきてゴミ箱の蓋真上に設置した。前回の悲劇が発生した後、これを置いておくだけでコバエがほとんど立たなくなった、効果は間違いなく裏打ちされた代物ではあるので、しばらくは枕を高くして眠りたいところであるが、万が一再び万の軍勢を湧かさないために気は配っておこうと思う。使用前に、ゼリーが入っているケースの密封シートをべりっと剥がすのだが、内容物の匂いを嗅いで、ああ、そういえばこんな匂いだったなと思った。思い出は、時として知覚に結び付けられて甦る。昼、かなりでかい街路樹に覆われた街道を歩いていると、前方で何かが落下するのが見えた。一瞬、葉っぱかしらと思ったのだが、葉っぱにしては落下が急すぎるし直線的すぎる。ストン、あるいはドスンとしてもよいような軌道を描いていた。目が悪いので落下物に接近して目を凝らしてみると、なんと上方の巣から哀れ落下してきた鳥の雛であった。羽毛など全く生えそろっておらず、申し訳程度の肉と皮だけで身体が構成されており、それが四つん這いを引っ繰り返したような体勢でぴくとも動かないのだから、これはもう落下の衝撃で、一瞬で逝ってしまったものと思われた。アスファルトに衝突した時、カシャッと卵の殻が割れるような音が聞こえたが、それもあながち間違いではあるまい。まだ表情というものを読み取る事さえ困難な未熟さで、焦点の分からない淀んだ黒が空を見上げていた。そばで同じ事態を目撃したご婦人たちがあらまあいやだ可哀想という様子をしていた。梢を見上げてみたが、どこに巣があるのか分からなかった。落ちてしまったところしか見なかったので、その後の顛末は分からない。この間の放置された茹で卵と一緒で、カラスに腑臓を貪られて果てたかもしれないし、往来の激しい道だから、駆けてくる自転車の両輪に押し潰されて、もう一度軽く壊れる音を響かせたかもしれない。手に取って土の上に置いておくには、なんというか、あまりにも発展途上が過ぎてグロテスクだった。水筒を洗い忘れたので、いや洗うのが面倒だから持っていくのが面倒で、道中の自販機でポッカのスポーツドリンクを買った。いつもは100円の麦茶みたいなやつを買うのだが、まずいのでこちらにしたらこっちもまずかった。アクエリアスの優秀さがしのばれた。