他愛がない

めぞうなぎと申します。文字の話です。日記が置いてあります。短編小説も書いてます(https://kakuyomu.jp/users/mezounagi/works)。 twitter:@mezounagi mail:mezounagi★outlook.jp(★→@)

飴でできた林檎

ゆーっくり、ほーんのり、気の抜けた炭酸みたいな緩やかさでぬるめの晴れとなり快方に向かった。台風が来るとか来ないとか聞いているが、今日の洗濯物が乾いただけよしとしよう。藁半紙を空中にほどかしたような、変に質量を感じさせる、確かかさぶたを作る時に血中の固形成分を絡め取る働きをする繊維質のナニカがあったはずだが、あんな感じの微細なそれがわらわらと群れているような暑気が「呼んだ?」とばかりにぴょこぴょこと顔を覗かせ始めているのが感じられて、あぁこれはもう終わりで、そろそろ夏が自らの性格その他諸々エトセトラを自覚して自己実現を始めてしまったなあとの思いが全身に沁みて、沁みているのかと思ったらこれは夏の暑さがへばりついている例のあの感覚で、やっぱり夏来たのかなあと思うようなそうでないような。結構前に見た光景だが、ちらちらと雨が降る日に、家の近くの自販機前で、けったいな物体を見かけた。ぱっと見では青い不透明がぷっくりと膨らんでいて、その中に白い芯みたいなものがくるくると丸まって輪郭を保っていた。新手のキノコか、はたまた危険なワールドトレジャーかと思って恐る恐る顔を近づけると、なぜ透けたぶよぶよと白のへにゃへにゃが融合し合一して形態を成しているのかが察された。道端に放置された冷えピタ的冷却シートが、雨の水分をわがままに吸い焼け太りした結果、ジェルの部分が密度を失い体積に魂を売った膨張を繰り広げ、向こうを見透かせるオーシャンブルーがドキドキおっぱいドリームしているのだと判明した。写真を撮っていないので、あのマテリアルがあの状態にあるとどのようにグロテスクで、しかし綺麗に横たわっているかに関して筆舌を尽くすしかないのだが、見ていると恐らく涼しい気分になれる事は請け合い間違いなしのはずゆえ、夏の夜半には金属ボウルに水を湛えて、膨らんだ冷却シートを縁側で拝むとよいかもしれない。美味しそうなソーダ味色をしているのだから……。何日か前に、駅の階段を上がって地上の景色が見えてきた時に、「雨の匂いと安い最中に入ってるアンコの匂いは同じだな」と気が付いた。傘、差す? 差さない? と択一を迫られているような絶妙な勢いの天気だったその日の大気は、確かに安い最中に挟んであるアンコの匂い、あの他では嗅がない、もしかしたら生地というか挟むパリパリした方についている独特臭で満たされていた。一瞬しか捕まえられなかったので、気のせいかもしれんが。