他愛がない

日記が置いてあります。タイトルと中身はあまり関係ありません。短編小説も書いてます(https://kakuyomu.jp/users/mezounagi/works)。 twitter:@mezounagi mail:mezounagi★outlook.jp(★→@)

身体で払えコンティニュー

道を歩いていると、肩に何かが掠れる感触を擬似的に体験し、葉っぱでも肩に携えたまま歩いていると恥ずかしくててへぺろりんこになるので一体どんな珍客が今宵は寄宿あそばしたのかと視線焦点を至近に絞り込むと、緑色の、例の形をしたあいつ、錆に塗れた鉄くずのようではないけれど憎し許さじの感情を否が応でも歓喜するあいつ、カメムシの緑色MASKver.がちょこんとこちらを向いて止まっており、思わず「うおっ! 人類の敵っ!」(原文ママ)と口走ってしまった。靴が雨にそぼ濡れた時もQOLは爆下がりするが、それのみならず、洗濯物にカメムシがひっ付いて屋内に入ってきた事を悟った瞬間もなかなか負けず劣らずQOLを暴落させる。この悪辣漢と渡り合うには、徒手空拳素手では無謀である。悪臭をへばりつけられたら最後、それが最期の時だからである。硝煙をつけないためとかなんとかの理由があるらしい、拳銃をぶっ放す時の白手袋同様(あれ、別に白手袋じゃなくても構わないんだよな?)、念のためにポケットに入れているハンカチを優しく握りしめ、一抹のかすかな願いを込めてそっとそいつを押し出した。押し出されなかった。頭の中に、カウンターまであと何フレームだ? と浮かんだ。要するに、食らわなければ痛くない。4フレームなら、ショーパンが刺さる。もう一度、駄目押しのつもりでぺいっと払った。あっ、という顔に見えた。緑色のそいつはどこかに行った。一見して勝利である。最後っ屁という言葉があり、最後の一斬りを浴びせて相手を嫌な気持ちにさせる事ができたなら、めだかボックス球磨川禊が異常に得意そうな手だが、結局はそいつの勝ちになってしまう。完勝を収める事ができたのか、それともこの手を汚す事になったのか、ハンカチを鼻頭に当ててくんくん嗅いでみる。……。臭くない。束の間の停留所になっていた肩口にも鼻を寄せて、ゲロカスフローラルに身構えたが、臭くない。臭くない……(キラキラした絵文字)。勝利であった。が、しかし、願わくば交えたくない刃ではあった。剣豪はいらぬものは斬らぬのだ。多分。剣豪じゃないしなあ。変に目が覚めて、あるいは構成システム終了の最後の10%が残ったままで、5時まで眠りに落ち込む事ができず、朝が来るなあ、明るくなって来るなあ、と思いながらゴロゴロしていた。人生がいつまでか分からないし、長さとその価値もよく分からんのだが、人生の総秒を総ライフに変換して、毎秒1ダメージを受けたら、尊さが分かるかもしれない。