他愛がない

日記が置いてあります。タイトルと中身はあまり関係ありません。短編小説も書いてます(https://kakuyomu.jp/users/mezounagi/works)。 twitter:@mezounagi mail:mezounagi★outlook.jp(★→@)

風乱(ふらん)

除湿機能がフル回転しているのに、空調を止めた瞬間に全身に汗の膜が浮かぶような調子外れの室温の中で、全く寝られず寝返りを打ったり掛け布団を展開して抱きついてからやっぱりお前といると暑くてやれんわと突き放してみたり、夜と相容れない睦み合いに励んでいる最中、鎧戸を閉めたその向こうでは、ひっきりなしにずおおおおおおぶわああああびちゃあああああばたばたばたばたびゅううううと子供の絵本も裸足で駆け出して濡れた路面に足を滑らせ後頭部を強打、そのまま他界しそうな擬音がめくるめくスペクタクルで爆発していて、部屋の気温がどうあろうと結局ノイズで寝られなかったかもしれないのだった。よくもまあ、空からあんな量の水分がblowin'しながら降ってくるものだ。一晩中ショーシャンクできたんじゃなかろうか。あれだけ爆風だったし、場所によっては半端ではない木の枝が爆散したらしいから、そんな天候の中で天荒に逆らって大人しくせずマヌケヅラ晒していたら看板でもなんでも真っ向からおかおパンチされてぶっ倒れるだろうな。関わらなくても済む災害については、シェルターに引きこもって過ぎ去るのをただただ静けさに埋もれて待つのが一番、総合的に色々な面で見た時によろしい。窓際調理器具安置棚のそばに、ゴミ袋やらなんやらに使い回す用のビニール袋を貯めていて、なぜかその部分の床に落ちている新聞紙が茶色く変色していたので、もしかして知らない間にこの下でゴキブリでも踏み潰したのか、あるいは飲み物でも零したのかと掴んで持ち上げようとしてみると、バリバリと剥離音を立てて床が露わになり、そしてまさかの、ライターで焦がしたかのように黒く茶色く一面に変色していた。「!?!?!?!?!?」の波に飲み込まれた頭で、持ち上げた物質の一群の頂点を成す構成体に気が付いた。わーお。6月か7月にもらったまま、紙袋に入れて忘れっぱなしで放置されているみかんだかデコポンだか夏柑だか、その辺のそれ的なあれが、どす黒く茶色い粘液をねばねばに垂れ流してごろりとしていた。幸い、紙袋インに加えてビニール袋保護膜もあったので生理的嫌悪感のブラックホール終着点みたいな光景は見なくて済んだが、糸を引く胆汁は見るに耐えないものがあった。周辺に吹き溜まっていた埃や髪の毛もまとめてキッチンペーパーで拭ったりして、とりあえず全部見なかったふりでゴミ袋にぶち込んだが、痣のように変色したフローリングが残った。グッドバイ敷金。