他愛がない

日記が置いてあります。タイトルと中身はあまり関係ありません。短編小説も書いてます(https://kakuyomu.jp/users/mezounagi/works)。 twitter:@mezounagi mail:mezounagi★outlook.jp(★→@)

光学徒

台風がホップステップジャンプで近づいているとかいないとか聞くし、明日の空模様でも空にお尋ねしてみようかしらチラリと網戸を引くと、音を立てないサイレント降雨がいつしか始まっていて、屋根の庇護から外れていた洗濯物たちの半身が汚い夜露にそぼ濡れていた。洗濯物をうっかり雨に濡らしてしまった時、どこまでの濡れ具合を容認すればいいのか、心の広さを正面に立ってまじまじと覗き込まれているような気がする。これは包容力の、愛の試練である。どこまで汚れた君なら抱きしめられるのか、その限界を問われている。と思って洗濯物を取り込むと、時と場合に関係なくシリアスな気分になれる。なったところで得るものは何もないが、普段考えない事に思いをやる事によって、自分を見つめ直す機会になったりならなかったりするだろう。しかし、衣服にそんな感情を大真面目に抱いてあまつさえ俺は君を受け入れる、愛してるよ……とハンガーにかかったままのもぬけの殻をかばいすくめているところを想像すると、なかなかにぞっとしないので、心の中で一人きり、こっそり巫山戯てやるくらいがちょうどいい。突っ走ったフェティシズムみたいになってしまうからな。昨日の夜と今日の朝と、使った覚えのないVISA引き落とし連絡メールが来たけど、ほぼ間違いなく口座引き落としに設定している何かしらの何かの料金が差っ引かれたのだと思うが、一ヶ月のうちにこの日にこれこれあの日にあれそれが落ちますよ〜残高気をつけてね〜とリマインドする用のメモを作るほどできた頭をしていないので、毎月欠かさず、気が向いた時に記帳しに行っては「この1268円って何だ……?」「3000円くらい落ちてるけど、こんな金額払った覚えがないな……?」と思っている。カードの明細を見に行くのも、もうちょっとページを便利にしてくれりゃいいのに、愛想が乾いたティッシュくらいしかないお塩スタンスだから開く気になれない。ログイン情報を完全に忘れたというのもあるが。もう少し、何て言うか、細かいところに気を遣った丁寧な暮らしを心がけないといつか足元で木綿半丁を踏んで身体が中空で一回転し、絹ごしの角で頭をぶつけてゆるやかに死にそうな気がする。死因:豆腐。鶏モモの精肉を一枚引きずり出して、一口大に切ってから適当に炒め、醤油をかけて焦がしてからマヨネーズをもりもり絞り、全体に溶かしながらまぶしつつ馴染ませて、花椒辣油をぶっかけてまぜまぜした頭の悪い晩御飯のおかずが美味しかった。居酒屋でいい感じのところ狙えそうな味してたね。