他愛がない

日記が置いてあります。タイトルと中身はあまり関係ありません。短編小説も書いてます(https://kakuyomu.jp/users/mezounagi/works)。 twitter:@mezounagi mail:mezounagi★outlook.jp(★→@)

月の裏側の私人

朝、起きてから1、2時間くらいが、花粉症症状のピークらしい。朝の一通りのルーチンワークを済ませるまで、ちょっとティッシュのところに戻ってずび、またティッシュのところに寄ってずび、ゴミ箱の天面が一瞬にしてティッシュ色になる。年頃のティーンがいる部屋のゴミ箱みたいになる。白とか紙色とか言わずティッシュ色と評したのは、ティッシュが集積すると、ケント紙に似た、ほんのりした黄色っぽさと、どこか青白さが感じられるからである。美術部に6年間在籍しながら、結局ハナクソほども絵が描けるようになれなかったが、ティッシュをアクリル絵の具で描け、描けるまで帰らせないと言われたら、そのままその場所が死に場所となるだろう。石の描き方がさっぱり分からないのを見かねた顧問の先生が、突然青やらオレンジやらを置き始めて、そのあまりの意味の分からなさに頭が5000%停止して泣きそうになった事がある。未だに、なぜそうすればそうなるのか、全く、まっっっっっったく分かっていない。なんで? 何の機会に買ったのかさっぱり覚えていないけれど、台所の棚に保管したままになっていたので、いい機会だからとクラッカーをかました。せめて、絢爛とは言わずとも、賑やかし程度のテープが瞬いてくれれば、気が紛れるかと思って。ぱーん。小気味のよい音がなった。大気味のよい、なんて言うのだろうか。何も出てこなかった。

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音だけが出るタイプの、片付けカンタンなクラッカーだった。あ、そういえばそうだったなと思った。誕生日を祝おうと思って、空砲が火薬の匂いを漂わせた。うーん。このやるせない肩透かし感をどこにぶつければ。高くてめちゃくちゃ美味しいけど量が憚られるものよりも、値段そこそこで美味しいものをお腹いっぱい数回食べる方が幸せである。味覚に対してステータスを感じないし意義も大して見出せない。ハイソに対してバリューが湧かない。ので、いい飯を食うよりも、生き物として充足しようと思って、またキッチンDIVEに行った。総武線を盛大に乗り過ごし、終点津田沼まで行ってしまった。井上ひさしの本、後半は寄稿原稿などで、文章もすごいなと思ったけれど、やなせたかしアンパンマンの遺書』、こちらに引き込まれて、ぐいぐい読んでいるうちに、気付かず目的地を通り過ぎていた。絵本作家だから、というのではないが、やなせたかしに対して、文章面での期待は一切していなかった。ただ、タイトルが面白かったから借りてきただけで。恥ずかしくなるほど文章が上手かった。恐ろしいほどに読みやすく、恐ろしいほどに読ませる力がある。透明で、さらさらと流れている。まだ半分も読み終わっていないが、アンパンマンの後ろには、こんなバックグラウンドがあるのかと、予想も、考えようともしなかった柳瀬嵩という人間が見える。文章を読んでいて楽しいと思ったのは久しぶりかもしれない。