他愛がない

日記が置いてあります。タイトルと中身はあまり関係ありません。短編小説も書いてます(https://kakuyomu.jp/users/mezounagi/works)。 twitter:@mezounagi mail:mezounagi★outlook.jp(★→@)

宇宙閉闢以来

真ん前の家に、一人暮らしかどうかは分からないが、とにかくおばちゃんが一人、少なくとも住んでいて、玄関門の周りを花鉢でいっぱいにしている。目立って綺麗な花がたくさん植わっているわけでもないし、ごくごくありふれた普通のプチ・ガーデンみたいなものだ。時々、ジョウロで水をかけているのを見かけるので、大切にしているのだろうなと思われる。それらの鉢の影に隠れて、ネスレのコーヒー瓶に水と水草を詰めた、アクアリウムとでも言うのか、あれは。ささやか中のささやかと言うべき、ほんの添え物みたいなそれが置いてある事に気が付いた。ハンズやロフトでそれ用の瓶を買ってきてのそれではなく、日常生活の中で出る再利用可能なかけら、その中に模造品かと思うほど目の覚める草色をした水草がふっと立っていて、あぁ、綺麗だなと思った。今日までさっぱり気が付かなかった。隣の鉢から溢れる植物に半ば隠れるように立っていて、しかもそのプレゼンス自体が大したものではない。けれど、なんだか素敵だなと思わせる色気があった。前に発見して気に入った調味料、生姜とネギのよく分からんやつ、あれの名前を覚えた。ジャンツァオジャン。漢字は忘れた。中国語もピンインも明るくないので、カタカナに記憶を残す事が精一杯だった。一瓶、買い置きしてあったのだが、これを口で言うだけなのももったいないと思い、人にあげて感想を聞いてみる事にした。来週聴取する予定なので、好意的なものだと嬉しい。料理はパッと言える、ただふたつの趣味のうちのひとつなので……。もうひとつは読書だと言う事にしているが、別にそこまで本を読むわけでもないし、世に言う読書が孕むあれそれがどうも肌に合わないので、読書という単語を使いたくない。気になった本を拾い読みしている、程度のものである。いつも使っている図書館から、各種文庫が並んでいる壁沿いのエリアが撤去されたら、私は本を読まなくなるかもしれない。いい加減な出会いの場がオープンに提供されている事の重要性は、少なくともあそこには存在する。一生かかってもあのエリアの本を読み切れないだろう。どう頑張っても面白く思えない本が、すでにたくさん見つかっているので。一年のうちで、毎月MVPの本を選出するとしたら、昨日から言っているやなせたかしの自伝が今月のそれになるのはほぼ確実である。全くこわばりがない、柔らかくてゆとりのある文章なのに、どこかを剪定しようと思っても除く事ができるパーツが耳垢くらいしかない。なぜか、抜き差しならない密なバランスも裏側にある。本当に、めちゃくちゃ面白い。サンリオの元々の社名が山梨シルクセンターで、そこから山梨を音読みしてサンリオになったのは知らなかった。そんなんでいいのか。