他愛がない

日記が置いてあります。タイトルと中身はあまり関係ありません。短編小説も書いてます(https://kakuyomu.jp/users/mezounagi/works)。 twitter:@mezounagi mail:mezounagi★outlook.jp(★→@)

瓢箪吹き

でかいパプリカが売られていた。普通思い浮かべるパプリカといえば、ピーマンっぽいあいつと筒井康隆のパプリカがほぼ同時に想起されるのだが、それらのパプリカとは随分異なるパプリカが売られていた。なんか、長いやつが。スタンダードなパプリカは(私がスタンダードだと思っているだけで、こちらの方がむしろ例外的なのかもしれないが)握りこぶしくらいの、こんもりしたおよそ長方形の外形である。昨日見たパプリカは、長い。鷹の爪的唐辛子を、10倍に引き伸ばしたくらいでかい。細長いのだ。手甲というか鉄爪というか、手にはめて戦うなんちゃらクローみたいな武器の、突き出している部分を連想されたい。だいたいそんな感じのパプリカだった。イタリアンパプリカと言うらしい。パプリカにはパプリカしかないと思っていた。イタリアンパプリカではあるが、産地は韓国だった。まあ。そういう事もある。なんで買ってきたんだろう。面白そうだからか。面白くはあった。パプリカサラダとかでもいいが、生食やら茹でるよりは油で炒めた方がいい感じになりそうな雰囲気もある。しょぼい人参と言われても信じそうになるスケール感だ。どうしようかね。昨日想定したよりも冷蔵庫の冷蔵エリアの冷凍危険地区が広く、最も奥行きが浅く、全長の半分もいかないだろう最下段に入れてあったうどんの生麺さえうっすら一部分が凍結していた。大丈夫なんか? 伊坂幸太郎、火星に住むつもりかい? を読み終わった。伏線をぶんぶん張り巡らせて、回収しながらフェイクをかけてくるのは流石伊坂幸太郎と言ったところで、ページをめくる手が忙しくなるストーリーテラーぶりは健在だった。ごついボール紙でくるんであって、一ページ一ページに質量のある厚みがある単行本は、長編をぐいぐい読んでいくのに最も適した、心地よいフォーマットだと思う。奥付を見ると2015年初版とあって仰天したが、手に持っているそれが初版なのにも仰天した。もう5年も経つが、まだ初版本が市場に残っているものか。微妙な気持ちである。表紙には、でっかい風力発電機のプロペラと、英題の"LIFE ON MARS?"がある。どちらも、読み終わってからぱたんと本を閉じ、一番最初に目に入ってくるとじわじわと湧かせてくるものがある。特に、あとがきを読んだ後にLIFE ON MARS? の文字列を見ると。笑えるところもあるし、笑えないところもある。小説家になってよかった人だとも。