他愛がない

日記が置いてあります。タイトルと中身はあまり関係ありません。短編小説も書いてます(https://kakuyomu.jp/users/mezounagi/works)。 twitter:@mezounagi mail:mezounagi★outlook.jp(★→@)

ヘビィ・オイル・スマッシュ

人から昼ご飯をもらったのだが、これがまたものすごいやつだった。「ものすごい」という単純で裏表のない言葉で表現するのがきっと適当なほど、ものすごかった。焼いた硬めの長パンの中に、てんこ盛りなトマトソースとミートボール、モッツァレラチーズが挟まれており、パンは染み出した油で早くもふやふやである。包んである油紙も、透明になっていない所がないのではないかというくらい油が浸透しきっていた。給食で出て来た揚げパンをいざ油紙に包んでみると、おそらくこれくらいシースルーでセクシーでオイリーな事になっていたのだろう。砂糖がまぶしてあるから喜んで食べていたが、何に砂糖をまぶしてあるのかは気にしなかった。知らぬが仏とはまさにこの事で、人は何も知らないまま死んでいけたら仏として死ねるのではないかとさえ思う。めちゃくちゃに言ってしまったのでここで言質の方向修正を図ると、なぜチーズインハンバーグが美味しいのか、なぜソースもりもりのグラタンが美味しいのかと言えば、油でてろてろして摂食本能と生存本能のせめぎ合う軋みが「うめぇ」と騒ぐからである。ぬるぬる油で滑ってノイズが起こるのかどうかは分からないが、確かにそこには一種の「うめぇ」がある。ギッチギチに詰まったミートボールとベットベトに張り付いたモッツァレラがジャンクな大合唱を奏で、口の周りがベタベタになる。よく考えたら野菜がトマトくらいしか入っていない。それ以外は全て黄色か赤の食品群に帰属する。カロリーの塊オバケみたいなフードだった。人生であそこまでアルティメットにパラメータを振り切った食べ物に出会った数は多くない。貴重な経験をし、ついでに非常に鈍重な胃袋になった。全く消化が進まない。でっかいミートボールスパゲッティのスパゲッティの部分を質量丸ごとパンに置換するとああなると思う。電気屋のサンプルPCの画面に、オンラインゲームの広告が延々とダラダラ流れていて、毎度毎度電気代がもったいねえなと思うのだが、高難易度コンテンツへの勧誘文句がものすごく気になったのでここに引いておく。正確に字面そのままを写したものではないが、「どこまでできるか、太刀打ちしてみよう!」と、こんな文面であった。肯定文の中に登場する「太刀打ちする」という動詞に、受け流せない気持ち悪さを感じた。普段目にする太刀打ちは、必ず「できない」を引き連れている。太刀打ちできないのだ。子供を失って輪郭のぼんやりした太刀打ちが、ふらふらと画面に揺れていた。