他愛がない

日記が置いてあります。タイトルと中身はあまり関係ありません。短編小説も書いてます(https://kakuyomu.jp/users/mezounagi/works)。 twitter:@mezounagi mail:mezounagi★outlook.jp(★→@)

ちっちゃい紙パック飲料のストローを吸う時の独特な寂寞

味の絶妙な微妙さに腰が引け、なかなか手を伸ばす気が起きなかったがしかし着実に開栓日からカレンダーが遠のいていくので品質が心配になり、鯛味噌を食べきった。一週間くらい冷蔵庫の中でラップを被って放置されていたはずなのだが、相変わらず西京味噌のしょっぱい所だけを暴力的に濃縮した味がした。しばらく冷蔵庫の中で安置され水分が飛んだからだろうか、ファーストコンタクトの時よりもねっとりとろりとしていて、面食らった当初よりは成分の観察が可能になり、このつぶつぶ? ただの味噌にはおそらくありえないだろうこのつぶつぶ? みたいな? パーティクルが? 鯛そぼろなのかな? と推察された。真にその答えが真であるかどうかは分からない。一度、鯛を入手して手ずから味噌を作らなければこの答えは出ないだろう。電車がわちゃわちゃに混んでいるのに、昇降口横に陣取って彼女を包含する男がいて、めちゃくちゃに邪魔でめちゃくちゃに遮っていた。腕を回してお前が守っているのは女ではない、腕を回す事でお前は周囲の乗客を敵に回している。ひいては女を危険に晒している事になるのだ。すげぇ邪魔だからよく分からんメンツを保ってかっこつけようとするのやめろ、と振り返った今になればどうとでも言えるが、実際的に数十秒もない乗り降りの刹那においては、ただひたすらに邪魔である。レースゲームのおじゃまブロック系アイテムがリアルに変換されるといかに触るものであるのか、生きた教材を目にして学びを得たと前向きに捉えておいた方がいいような気もするし現実から目をそらしているだけのような気もする。都会は母体が広いから、必然的に目撃する機会が多いだけで済む話かもしれないけれど、数日前はでっかい駅の地下通路、人がわんさと溢れかえる中で、柱にもたれかかってチューするの、しないの、んー、どっち、えへへー、べたべた、みたいなイチャつき方をしているのがいて、二人だけの世界を構築する能力が卓越しているなと思った。そのすぐ近くではホームレスが駅を封鎖される夜中までの時間つぶしに吹き溜まりで寝っ転がっていて、現象のこういう隔絶を見ると頭がくらくらする。左と右で全く別の世界線が展開されているようである。地上にあがると、いつものようにコンタクトクーポンを配る人がいた。普段は何を考えているのかさっぱり察せない笑顔をうっすら浮かべて立っているだけで何もしていないおじさんが、今日はにっこにっこして道行く人にティッシュを差し伸べていた。何か言っている。聞こえない。耳を澄ます。「取ってね。取ってね」ぞっとした。