他愛がない

日記が置いてあります。タイトルと中身はあまり関係ありません。短編小説も書いてます(https://kakuyomu.jp/users/mezounagi/works)。 twitter:@mezounagi mail:mezounagi★outlook.jp(★→@)

一家に一台あるかどうかは場合による

冬の盛りではなく、萎みかけているこの時期に、手が荒れ始めた。指の背が割れたり炎症で腫れたり、様々不快要素は尽きないけれど、寝つきがものすごく悪くなる。お布団に入って、ニベアを塗って、さあ寝るぞと目を瞑ると、ぬくぬくになって良好になった血流が四肢末端を襲い、猛烈に指が痒くなる。とても文字では書き表せない、悶絶と苦悩の末に脳が白く焼き切れそうになって身体が編み出した痒い部位の掻き方がある。痒い部位を掻くとなおの事痒くなるのは人類に広く知られた真実のひとつである。痒さが痒さを生み、痛みが痒さを呼ぶ。ただ両腕の先っぽに付いているだけの細い肉がゆえに、全然眠れず寝返りをうちまくる。やっと寝られたかと思うと、眠りの淵から意識が浮き上がってきたほんの一瞬に、手の痒みを自覚して薄氷が割れる。要するに、すごく痒いのだ。どこかにぶつかるだけで痛いし痒いし、常時の1.2倍くらいのサイズになっている。第二関節くらいまで血の気が差しまくっている。掻いてはいけない、掻いてはいけないと、その忍耐の先に一切の悟りが保証されていない不毛な坐禅を強要されている。痒い。ある建物のガラスに、「アルバイト募集! 時給1085円」と書かれた紙が貼ってあった。場所と職務内容にしてはちょっといい額だな、と思って、詳細を見てみようとした。でっかい主要情報の下に、ちまっとした文字でこう付け加えられていた。「〇〇時から。それより前の時間はー100円」とある。掲げられた時給で勤務できる時間はほとんどなく、実質は注意書きされた方の985円、都最低時給ギリギリであるにもかかわらず、額面だけで飛びついてくる数を増やそうとしていた。端的に言って、セコいと思った。やり方がこすい。こういう事を臆面もなくやるしたたかさが社会で生きていく上で必要なのかもしれないが、にしてもセコいなあ、と思ったし今だにセコいと思っている。まいばすけっとの求人ホワイトボードみたいに、時間帯ごとに時給が違うと分かりやすく明示すればいいのに。グーグルマップで家の周辺をちらちら覗いていると、そう遠くないのではないかと思える距離に肉のハナマサがあった。西友のカスみたいな肉には嫌気が差していたので、散歩がてら行ってみようと思った。途中立ち寄った本屋で、なぜか缶ビールを配っていた。何だったんだろう。コミック売り場を見て、やっぱりエロ漫画はそういう筋の店に行かないとないんだな、と思う。そして、地図から想像したよりもハナマサはずっと遠かった。ちょっと行きつけるには現実的ではない距離にあった。でも、買って帰ってきた鶏肉は美味しかった。肉は肉屋。