他愛がない

日記が置いてあります。タイトルと中身はあまり関係ありません。短編小説も書いてます(https://kakuyomu.jp/users/mezounagi/works)。 twitter:@mezounagi mail:mezounagi★outlook.jp(★→@)

築く労力に比して崩れるのは一瞬

敵の技とか何かで記憶喪失になった仲間を、みんなで手助けしながら元通りに回復していくストーリーラインは少年漫画で珍しくないが、ここで大事なのは記憶が「喪失」ではあれ回復が担保されている事で、むしろ記憶不全くらいに言った方が正しいかもしれない点である。失われて読者をハラハラさせる記憶は、出戻りが決定しているのである。たまに本当に廃人になる展開もあるが、それはそれとして。約11ヵ月の間堆積されたデータが一つ残らず虚無と化し、まっちろな状態でMacBookが返ってきた時、そんな事を考えた。今後も必要だったかもしれないDTPデータが生データ編集データ入稿データ全て吹っ飛んだり、ちまちま集めていた画像フォルダが跡形もなくなったり、快適に設定していた操作周りのもろもろが軒並み初期値に戻ったり、言いようのない、言語化不可能なやるせなさがじわじわ足元から上がってきて、途中からめんどくさくなったのかくるぶし辺りまで這い上がってきたところで重力に負けて地面に染み込んでいった。失われたデータ群を嘆きたいのは山々なのだが、口に糊するような超大事データ以外は、何が入っていたのか実はよく覚えていない。巣に食糧を持ち帰ったらその詳細はすっかり忘れて、ただ「棲家になんか食べ物がある、安心!」と思う動物なので、今堆積している本の山に何があるのかそういえばよく分からないし、冷蔵庫の中や流しの下に何があったのかよく覚えていない。現時点でキノコがないのは一応覚えている。なので、喪失した事による精神的痛打を感じなかったというのは、それすなわち、本心ではそれほど重要に思いなしていなかった事なのだろうかと考えざるを得ない。プロパティを覚えていないので、悼みたくても悼めないだけかもしれないが……。ウィルスバスターやOffice系ソフト、Adobeアプリケーションも再インストールしなければいけないが、ライセンス番号とかどこにやったかなと既に頭が痛い。ビックカメラの店員に、なぜどうしてホワイソフトウェアが不全に陥ったのか聞いたが、なんとなくたまたま偶然時と場合の運によってこうなったらしいので、昨日の唐突なブレイクダウンは、ある面では家族が突然逝った状況に近いかもしれない。物心ついて以来、三親等以内がまだ逝った事がないので実際どうかは分からないが、あると当たり前に思っていたものが突然なくなり、どうにか現状復帰しようとすると税とか遺産とか色々な付随要素が覆いかぶさってくる。ちょっとだけ、似ている。バックアップは大事だという教訓を得たが、今度からおまんまを食っているデータだけはクラウドにでも残しておかないといけない。再設定は数分で終わるが、編集データの完成には何十時間もかかるから。