他愛がない

日記が置いてあります。タイトルと中身はあまり関係ありません。短編小説も書いてます(https://kakuyomu.jp/users/mezounagi/works)。 twitter:@mezounagi mail:mezounagi★outlook.jp(★→@)

掘っても掘っても尽きない人

一瞥の必要もないくらいにすごいものもあって、そういうものは後になってから振り返ると実は大したことのない見栄だけのハリボテだったりするのだが、まあそれは見れば分かる説明を要しない超言語的な迫力や存在強度を持っているから、こちらからかかずらおうがかかずらわなかろうがそこにあるので放っておいても大丈夫である。相手にしなくてもそいつはそこら中に浸潤しているし、相手にしてもらうには生半可では無理だ。大概、鑑賞品であるままぽてっとあるのだから。しかし、そうではないタイプ、一見変哲はあるものの全容、縦横高さ諸々のステータスが分かりづらいがゆえに中途半端な分かった気しか寄越さないものがある。先達や賢い人がそこから掘り出してきた鉱石や欠片、自分で出向いた匂いや溢れ出す雰囲気を賽の河原のように途方もなく、完成の形が分からないまま、すごいと言われているからにはすごいのかもしれないと騙したり宥めすかしたりを続けながら試行錯誤していると、時々強烈な火花が一面飛び散らかして、さっきまで住んでいた家を全て燃やし尽くすようなものにたまに遭遇する。手の中の針一本がものすごい音を立てて増殖し、もはや威容としか表しようのない、突き崩せない質量を持って腕を踏み潰し、真の姿を一瞬だけいたずらにちらつかせてどこかに行ってしまった時、痛みや喪失感よりも先に、意味を自覚できない涙や滑らかな胸裡の軽さが襲ってくる。本当にあるかは分からない、それにあったとしてそれを伝達し切る事が可能かどうか不明だけれども、神との邂逅、神秘体験は、そのようなものの類なのかもしれない。何をもたらすわけでもないが、有無を言わせない、絶対強度の本物はあるのだと知る事は、多分に贅沢である。外張りのデザインセンスは時代にはるか取り残されているが、ベープノーマット60日タイプのおかげで、安眠にありつく事ができた。ただの一瞬であっても全身総毛立って、磁石に引かれる砂鉄のようにぞわっと存在がそちらへの指向性を持つ事を矯正する蚊の羽音がないだけで、夜のなんと安らかな事であろうか。蚊への尽きぬ負の感情が掃いても捨てるほどあるならば、すでに身体の箇所に恥じらいの砂丘を築かれてしまっているならば、千円しない、税込でも900円弱くらいだったので、騙されたと思ってベープノーマットを今夏のお宅に導入してみてはいかがだろうか。6畳くらいの範囲には覿面なので、寝る前にお布団の周りで炊いておけば十分である……。