他愛がない

日記が置いてあります。タイトルと中身はあまり関係ありません。短編小説も書いてます(https://kakuyomu.jp/users/mezounagi/works)。 twitter:@mezounagi mail:mezounagi★outlook.jp(★→@)

風邪を引かなければセーフ

家を出る時に、空気が重たく湿ってるわ空が寒天みたいな様子だわ、絶対ぜぇーったい間も無くただちに雨降りよるわコイツはぁ〜あ、とまでは思ったが、まだ降っていなかったので傘を持たずに出かけた。傘を持って出かけるという事は、外にいる間常に片手が塞がり動作を妨げられるという事であり、両手を常に自由にしいかなる要請にも応えうるような状態に身を置きたいと思う身にとっては大いなる妨げとなる。胸の内で天候への完全勝利を高らかに宣言し、駅に向かって歩き出すと、ものの2分もしないうちに水滴がぽつぽつと存在感を表し始めた。掛け値なく、正直言って「あ、やっちまったな」とは思った。これから向こう一週間、天気予報のお天気マーカーがひたすら傘で埋め尽くされている事は知っている。そこで徒手空拳で挑んでいく馬鹿野郎。ひっきりなしに雨びしょの国で、多少の雨は雨ではないという真理を学んだ私にとっては、多少の雨は無視できるものである。曇りという天候の誤差の範囲内として捉えられる。ふっ、勝ったなと一人芝居に満足し、目的地に着くと、見なくても分かるし見ると一層分かるようなひどい降り方にシフトしていて、ギリギリ間に合った。通行人が傘を差している中を、何も頭上に掲げず歩こうとすると、何度も思う事だけれどめちゃくちゃに危険である。傘を差している人間同士は傘の半径で距離をとるから凶刃が及び被害が出るような事はないのだが、傘人間と無人間が対峙した時、戦場で丸腰なのと武装したのが邂逅したような危機感が背筋あたりを貫いていく。目に刺さりそうだし、そうでなくても縁が当たりそうだ。当たり判定からすでにこちらの負けが決定している。夕方に見られたひとときの間断を縫って家路に着いたが、店に寄ってご飯を食べて外に出ると少しだけ再開していて、歩き出して1分もしないうちに、実感できるくらいたちまち一粒一粒が着々と重さを増していき、結局傘を必要とするまでに降り始めた。まだ負けではないと負け惜しみを言いながら、目の上にハンドタオルを捧げて、明瞭な視覚確保のためである、しっとしとになって帰宅した。店に寄らなければこうはならなかったが、どうしても行きたい欲がむくむくと立ち上り無視できない質量になっていたから仕方なかったのだ。最近、勢いを失わないうちにと買ったフランス語の中辞典が机の上に増えたので、それに伴って机の上に展開されるモノの量も増え、段々収集がつかなくなってきた。