他愛がない

日記が置いてあります。タイトルと中身はあまり関係ありません。短編小説も書いてます(https://kakuyomu.jp/users/mezounagi/works)。 twitter:@mezounagi mail:mezounagi★outlook.jp(★→@)

強情は存在するが弱情は存在しない

部屋から虫がいなくなったと思ったら、どこからともなくでっかい蠅が入り込み、居座っていた。でかいので、飛び回るとその質量が空気を切る音で気付くし、まさに黒点が飛び回っているかのような図体である。さきほど真横の壁にぴたりと止まったので観察すると、あまりにも蠅だったので、気分を害される前にこちらから視線を外しておいた。蠅はぶんぶん飛び回って集中力を乱してくる系虫の中でも相当にガタイがいいので、逆にこちらが負けそうな、そうでなくても苦戦してしまいそうなストレングスを感じる。私の思想に、マッチョなところが欠片もないからかもしれないが。蠅男、蠅王、とかのせいかもしれないな。昨日買った服は、とにかく三分丈パーカーの方は死ぬほど可愛いので納得ずくでの購入なのであるが、同じフロアで買い物をしていた男性の立ち居振る舞いというか、存在の仕方全般が「こんな人間が本当に世の中に存在するのか……っ!!!」と思わせる性格を持っていたので、この服を着ようとするたびにあいつの事を思い出すオマケもついてきてしまい、全然嬉しくない。応対してくれた女性店員に、ロング丈や変わった裁ち落としのシャツが置いてあるところでは「俺にどれが似合うと思う?」「やっぱそれ? 俺黄色好きなんだよね、俺の事分かってんじゃん、気が合うね付き合わない?」と言い放ち、試着室では「これどう? 似合う?」『すごい似合いますね〜』「でしょ? 俺こういうの好きなんよ。ほんとは俺の事好きなんでしょ? ね? ね?」との絡みを披露し、おそらく私が聞き逃しただけでも掃いて捨ててなお余りあるほどそういう感じのアレをアレしていたはずなので、これはある意味カルチャーショックというか、人間の性格が至りうる分布図の最大値を更新された心持ちがするというか、あの店員には気の毒でかける言葉もないけれども、私が珍獣を見る事ができたという点では非常に実りある邂逅だった。客の態度としてはもう何も言えないが。図太い、とかではない。私の中に、あれを形容する言葉の持ち合わせがない。誰かくれ。服を買う場所は分かったが、傘を買う場所が分からない。地元のスーパー以上しょぼいデパート未満みたいな店舗に行けば、生活用品フロア(なぜか大体2階にある)に傘コーナーがあって、そこでひどすぎないデザインの、中庸平凡実用性大事を絵に描いたようなアイテムが買えるのに。傘専門店に行きたいわけではない。ただ、折り畳みではないでかい傘が欲しいだけなのに。