他愛がない

日記が置いてあります。タイトルと中身はあまり関係ありません。短編小説も書いてます(https://kakuyomu.jp/users/mezounagi/works)。 twitter:@mezounagi mail:mezounagi★outlook.jp(★→@)

ちからこぶ粉砕

数日前、風呂場掃除用のスポンジと、よく分からん消臭剤を買った。東急ハンズは掃除用品フェア的なものを開催していたらしく、いやまあ別にそれで売り場の場所が変わる事はないから別にいいのだけど、瞬間的ニーズをバチっと満たしたゾーンがあったので、いいのがあったら買って帰ろうかしら〜、程度の物見遊山心地だった。やや硬質の凸凹でコーティングされた面と柔らかめの面を持つ風呂場スポンジ、これは結構よかった。適当に力を込めてぐいぐい擦るだけで大体の水垢だとかが落ちるので気分が良い。問題は、よく分からん消臭剤の方である。実によく分からん。メーカーの名前なんかこれまでの人生で聞いた事がなかったし、そもそも見た目のザコキャラ感がものすごい。格子カバーが白、羽根が水色の扇風機を真正面から見て、その時の光景を平面に圧縮したような、PCの冷却ファンを3mmくらいにうっすくしたような、とんでもなくへぼい外観をしている。外装には、「袋を開けた瞬間から酵素の力で匂いを分解!」的な事が書いてあって、おいおいビッグマウスもそのくらいにしとけよ、ポリスメンのお縄にかかっちゃうぜと忠告したくなる。しかも値段がびっくりするくらい安い。300円だ。この前アマゾンで見た、棒状の裁断機が5万円もするのはたまげたが、今回は今回でたまげた。安い、しょぼい、だけれど効くらしい。なるほど、いいだろう。お前の実力、俺が確かめてやるぜ! のテンションで買った。言うほどではなかったとしても、大した値段ではないから懐は痛まない。一瞬のアミューズとして、ただ忘れゆくだけだ。封をピッと切り、とりあえずトイレの窓枠にぽつりと置いてみた。商品説明書きによれば、30分くらいで効果が現れるらしい。ホンマかいな。ま、見せてもらいまっか。一時間くらい後。トイレに行きたくなったので、ドアを開けた。う、うあああああああっっっっ!!! びっくりした。それはもうびっくりした。その瞬間の心の動きを抽出して量産できれば、テレビ通販の女助手の下手くそなリアクションが世の中から裸足で逃げ出すであろうくらいにはびっくりした。そこには「無」があった、完全なる無が。無臭タイプを謳う消臭剤にも、常に何かしらの匂い、「有」がつきまとう。いや、しかし、ことその瞬間の私の家のトイレにあっては、本当に「何もなかった」。イッツ・オール・フィクション。球磨川先輩か? ゼロが3つ揃い、ジャックポットを吐き出し続けるその圧倒的光景を前に、私は項垂れた。最強は本当に存在するのだと知って。