他愛がない

日記が置いてあります。タイトルと中身はあまり関係ありません。短編小説も書いてます(https://kakuyomu.jp/users/mezounagi/works)。 twitter:@mezounagi mail:mezounagi★outlook.jp(★→@)

硝子のような靄

昨日作った豚バラ角煮的な物体を食べたが、そもそもレンジで温めるために容器から取り出した段階でものすごかった。冷蔵庫の中で冷たくすやすやと安置された煮汁は、脂を除去し終えたと思った私の期待を裏切りなお流氷のように厚く、ついでにその下の茶色い、醤油成分がまとまったのであろう部分もぷるぷるして煮こごりのようだった。レンジに突っ込んで温める事数分、ガンッ、ガンッと回転テーブルが荒ぶる音が聞こえ、またセッティング位置がずれて一周ごとに違和を来しているのかと思ったのだが、pの音を伴う破裂音を聴覚が捉えた瞬間に本能が危ないと警笛を鳴らした。庫内を見ると、案の定、バラ塊の皮付近の脂が爆発して虫に食われたようになっており、一緒に温めていた豆腐も同じく軽度の爆発を起こしていたわけで、急いで千切ってきたキッチンペーパーで扉の裏をそろりと撫でると、ぬめりと不穏な感触が返ってきた。透明な黄色と、何かのクズクズでコーティングされるkitchen paper。返す刀で庫内天井に手を走らせてみると、果たせるかな、ぬるぬるぬるりべとべとりと、電子レンジ内のコーティングに新たな地層が追加されてしまった事を悟った。レンジの掃除に向いているのは、クエン酸だったか? 重曹だっけ? 見なかった振りをして扉を封印した。加熱されて液体に戻った煮こごりの海の中に浮かぶ、豆腐と豚バラ。茹でておいたほうれん草4束をタレに放り込んだ。省エネおひたしみたいなものだと思えばよろしい。豚バラを掴もうと思ったら、重さに負けてずり落ちた。跳ねるタレ。光る含有脂。電灯に輝くシンク。後で湯でも流しておけばなんとかなるだろう。昨日調理している時は気がつかなかったが、皮と身の間に挟まれている脂の地層が、目をやるだけで気をやりそうな厚みを誇っている。消しゴムくらいある。ゆるいカーブを描いた赤身の上に、消しゴムが乗っている。天面からかぶりつこうとすると、皮と脂しか齧り取れなかった。何の味もしない。胸の裡で、うっとせり上がる存在の質量を感じる。脂だ。ただ一度湯に晒されただけの、きちんとした処理をしていない脂肪の暴力がそこにはあった。タレは美味い。豆腐も合うしほうれん草も合う。ご飯を添えておいて正解である。ただ、全ての根底に脂が圧巻の勢いで流れている。もったいないからと途中までは脂も食べようとしたが、半分もいかないうちに諦めた。しんどすぎる。私の握りこぶしくらいしかないバラ塊だったのに。この日記で言うと、3行か4行分くらいの厚みで脂が居座っている。キツい。残した皮+脂は、ラップで丁重に包んでゴミ箱にポイした。残り半分は明日食べるが、さすがに脂は取り除いておこう。