一瞬だけ澄明な瞬間があるので、そこだけを切り取って、コマ落としにしたうちのひとつみたいな細切れだから、一日二十四時間一四四〇分? に渡る全てにコピー&ペーストでその短冊を敷き詰めたい。お目覚めの話である。すこぶる悪い。パッと瞼が弾けるその瞬間のインパクトで砕け散り跡形さえなくしてしまうような、あの真水がごとくfragileで透徹したそれを捕まえて飼い慣らし、いいこいいこして我利のためにけしかけたいのだが、ボワッと覚醒が吐き出す泡の勢いに揺られてたちまちどこかへ行ってしまう。いや、覚醒ではない。船の意識的なわずかな揺らぎが、それを押しやってしまうのだ。ここまで言葉を尽くして言わなくてもいいような気がするが、注ぎたくなったところに水をじゃばじゃば蕩尽する性格なので、ここぞとばかりにリソース(指とか時間とか)を割いている。一応、一日に1000字を書く事で残せているあれこれがあるはず、なのだ、多分。何も残っていないのであれば……。まっこと水をぶちまけただけのバケツテロリストだ。自分の植栽を、畝を持てばよかったものを。滲み出す結露の行方をなくした、ただの亡霊ではないか。びしょびしょになって、冬の朝焼けに溶けている。アナルを犯されて、絶頂する夢を見た。薄ぼんやりとしたイメージしか残存していないが、おそらくむくりと動き出す前、4時だか5時だかだったのかもしれない、自分の陰嚢をマンぐり返しの態勢を正面から見る形で目撃していて、その枠内の、裏返しの陰嚢の範囲でしか認識できていなかったが、あぁ、俺は犯されているのだろうなと思った。時間は覚えていない。夢の中では時間は無力である。人形焼き窯で人間を焼却する人形師の家の中を覗き見て嫌な汗をじっとりとかいた人ならざるものだったあの時も、その後町のシンボルであった巨大お地蔵さんの頭が落下してローリングダウン、潰されそうになりながら胸中を焼き尽くす恐ろしさとの逃走劇に喘いだあの時も、どこかのタイル敷きの浴槽付き手洗い場で下半身を散弾銃で粉々にされたあの時も、時間軸は体感しかもたらさなかった。夢の話をしても自分しか分からないのだから仕方がない。昨日までの豚バラ脂暴力事件を忘れ、喉元を灼くために油そばを食べに行っていた。辛さが選べたので、別のそこまででもないやろと大を選んだ。その隣に最高レベル、激があったが、そんなに凄いのだろうか。油そばがなぜ油そばかと言うと、油とそばが丼の中に入っているからで、人生で最多の油を誇る油そばだった。油が全部麺に絡みついてきて、しかもその油が辛味成分を全部も全部連れてくるので、口の中がネトネトヒーヒーで忙しかった。麺を大盛りで抑えたはずなのにやたら多かった。食道炎にならないといいが。