他愛がない

日記が置いてあります。タイトルと中身はあまり関係ありません。短編小説も書いてます(https://kakuyomu.jp/users/mezounagi/works)。 twitter:@mezounagi mail:mezounagi★outlook.jp(★→@)

頚動脈がうるさい

流しの下に、ゴキブリホイホイを設置した。Gがカサコソする音を毎晩聞くのは、しんどいものだ。夜22時くらいに、カタカタという音が続いて、あ、これは、Gがホイホイされた音だなと分かった。これで後顧の憂いなく、夜はすやすや安眠できると思った。思っていた。思い上がるのは、とても簡単である。夜、お布団にくるまってぬくぬくしていると、そろそろパジャマを半袖半ズボンの夏仕様から冬仕様のスウェットに切り替えなければいけないのだが、流しの下で、Gがコソコソする音が聞こえた。最後の灯火だなと思った。足掻いていると。いや、これで全く、夜は安穏であると胡座をかいていたのだが、いつまで経ってもその音が鳴り止まない。カサコソカサコソ、カタカタカタカタ、なんとか逃れようとしているらしいGの肢体がうごめく音が、断続的に続く。その度に、私の頭の中で、今、かかっているあいつは、どのような挙動をしているのか、どのような方策を巡らせているのか、具体的に想起されてしまった。ああ、足掻いているな、戦っているな、頭の中のゴキブリが、手触りを持ったものとして、のたうちまわっていた。虚構新聞の、ゴキブリをピンクになるよう遺伝子操作した、という記事のレコメンドにあった、ゴキブリを知る、みたいな本を、読んだ方がいいかもしれないと思った。ゴキブリを、あまりにも、忌避しすぎているのではないか。共存の道は、いや、共存でなくとも、互いに隣り合って生きる道くらいはあるのではないかと考えていたのだ。全然眠れなくて、一時間か、二時間か、それとも三時間か、黒くて素早い、てかてかするあいつについて考えていた。そのうち、音は止んで、でも眠れなくて、睡眠の海に身体を埋める事ができないまま、朝が来て、目覚ましが鳴ったのを止めて、もう何時間か、睡眠と言えるのか分からない浅瀬をぱちゃぱちゃやっていた。天気予報ではあまり良い天気ではなかったはずなのだが、そこそこの好天に恵まれ、部屋干しした洗濯物を、外に出してから出かけてもよかったなと思った。惜しい。気持ちよく乾いたバスタオルは、いいものだ。で、帰りに、なんだか衝動があって、チョーヤの梅酒を買ってきた。割る用のいろはすもかった。水と言えば、いや、なんだろう、別にそれに対して、すぱっといろはすと返す自信はない。なんか、適当に、湯飲みに入れて、いい加減な割合で割って飲んだ。すごい。チョーヤの梅酒は美味い。私の、おぼろげな記憶は間違っていなかった。チョーヤはすごい。ついでに買ってきたからあげクンレモン味も美味しかった。レモンなのか梅なのか分からん。途中で、明らかに頭がふらふらして、血管の膨張と増上慢を感じた。あ、これがアルコールなのね。何年ぶりだか分からないまともな酒に、すごく弱い。でもチョーヤの梅酒は美味しいな。頭部が、血管が、ぶくぶくに膨れているのを感じる。顔面の勃起だ。顔面が勃起している。顔面が海綿体だ。顔がちんこだ。