他愛がない

日記が置いてあります。タイトルと中身はあまり関係ありません。短編小説も書いてます(https://kakuyomu.jp/users/mezounagi/works)。 twitter:@mezounagi mail:mezounagi★outlook.jp(★→@)

三つ葉が溶けて

頭の中で、「ワンダーランドと羊の歌」がずっと流れていた。日曜日、歩きながら、OFFICIAL ORANGEを聴いていたせいだと思われる。私は、あの時期が一番好きだ。歌詞の象徴界的性質とか、始終そこかしこに顔を覗かせる物語性のかけらとか。あるいは、このような場所でしかないような、ある言葉と言葉の結びつきから迸る意外性であるとか。誰の方も向いていない、極が自分のために回り続けるような閉じた自己完結性が美しかった。目的語がない、というのがいいのかもしれない。そこそこ晴れていたので、洗濯物を干した。いっぱいあったが、なんとか足りた。今日は、MPが足りている気がしたので、本の山に積んで久しかった『扇物語』を読んだ。奥付を見る限りでは、買ってから5ヶ月くらい経っていた。正直、物語シリーズに関しては、細かい事は全然覚えていない。主要パーソナリティについて、おおよその記憶があるだけである。読んだら本の中身をすぐ忘れる脳味噌は、シリーズ物を読むのに向いていないと思う。それはそれとして。西尾維新の文章はいつぶりであろうか、やはり、目で読むのが楽しい文章であった。声に出したい日本語というのは聞く事があるが、目で読みたい日本語というのはさっぱり聞かない。あるかもしれないが、今までのところ、ない。自分で組版までやってしまう京極夏彦ほどではないにしろ、字面が頭の中で反響させる音から導かれた洒落のあれそれとか、字面そのものを足がかりとしたあれそれとか、視覚的快の方が大きい、と思う。単純に、講談社BOX和文縦二段組が綺麗だと思っているのもあるけれど。あの組版は、とてもいい。ページ数がちょ切れそうなのが気になったりするけれど。あれはいい。それから、澁谷知美『日本の包茎 男の体の200年史』を読み始めた。真性であり、エロ漫画全てなべてファンタジーだと思っている身としては、人生で避けては通れない本であろうから。真面目な本なので、まだ半分も読んでいないのに早くも内容が頭の中から溶けかかっているが、当たっている文献の量とか質とかを見るに、たいへん地に足がついていて、すごい。あと、それに挟まっていた筑摩の新刊報があって、これの紙質がとてもいい。なんか、辞書と本文紙の中間みたいな、いい手触りがする。これが掛け布団敷き布団の質感であればいいのにと思ったが、布が紙の質感になると、実際は、けっこう気持ちが悪いものかもしれない。