他愛がない

日記が置いてあります。タイトルと中身はあまり関係ありません。短編小説も書いてます(https://kakuyomu.jp/users/mezounagi/works)。 twitter:@mezounagi mail:mezounagi★outlook.jp(★→@)

落ちている部位

今日は、朝から働き詰めで疲れたので、移動中の車内から見えた、印象的な風景についてスケッチを書き残しておく。踏切を待ちながら、横を見ていた。私は免許を持っていないので、後部座席で丸まってちんまりしていた。線路のために土が盛り上げられていて、そこからパイプが数本出ていた。キャップがされていたので、もう用済みとなったのかもしれないが、線路の排水のためか、何か。その下に、元々は池になっていたと思われるドブ水溜まりがあって、指ですくうと緑色がそのまま垂れ下がりそうだった。蓮の葉らしいものと、その上に白いゴミみたいな斑点が散らばっていて、歩道に向かって、ずぶずぶの腐った土が続いていた。その、静かに死んだままの水の縁に、魚が一匹、横たわって傷んでいた。それも、めだかやなんかのちっぽい魚ではなくて、サケみたいな、尺骨より少し短いくらいの、そんな生命活動を止めた水辺には相応しくないような、命あるかたちをしていた。膚は乾いて、白々しい、応答の無さが空を見遣っていた。腹のあたりが一囓りされたように輪郭を欠いていて、そこに黒い点がひとつ、飛んでは離れを繰り返していた。あの池に生きていて、とうとう息を止めたのか、それとも、ネコが台所から頂戴してきた獲物があそこに落下して見捨てられたのか。潤いのない光沢が、空間を虚ろにしているようだった。