他愛がない

日記が置いてあります。タイトルと中身はあまり関係ありません。短編小説も書いてます(https://kakuyomu.jp/users/mezounagi/works)。 twitter:@mezounagi mail:mezounagi★outlook.jp(★→@)

マチズモ

武田砂鉄『マチズモを削り取れ』を読んだ。この本は、装丁と挿絵がよい。直感に反した、居心地の悪いデザインで、でもそれが、日常生活という普通に見出した、削り取るべきマチズモの可視化を意味しているのかもしれない。内容は、言うまでもなく、武田砂鉄の持ち味である、ひとつの問題を提起して、それをごねごね捏ねくり回しながら、ああでもない、こうでもない、ああかもしれないしこうかもしれないし、という結論の見えない思考を、現時点での着地点が見えるまで諦めずに展開する粘り強さによって、まさに「削り取」るように、核心を浮き彫りにしていく。四章「それでも立って尿をするのか」は、途中で軌道修正をしながらも結論を得ていて、頑なでない姿勢の持ち方を教えられるかのようである。後半では体育会系についても扱われているので、どこかひとつでもピンと来たら読んで損しない本である。あとがきまで読むと、マチズモ(男性優位主義)が、思ったより情けなくてしょうもないものだと分かるのだが、その情けなくてしょうもないもので女性に負担を強いているのだから、日本という国のしょうもなさというか、削り取るべき垢なりクソなりがふんだんにこびりついて硬直しているのだなと思ってしまう。剥がすのでも分離するのでもなく解消するのでもなく、削るという、微々たる進展でしか取り除けないこの体質について、ファイティングポーズの取り方を教えてくれる。