『ダーク・ジェントリー全体論的探偵事務所』を読み終わった。アホみたいなタイトルだが、これがこの本の正式な名前だったのだから、フルネームで記載してやろうとするとこんなに幅を取ってしまうのは仕方がない。河原太鼓鬼左衛門みたいなもんなのだから。一体これはどんなものなのか分からずに読み進めたのだが、読み終わった後もどう呼び指してやればよいのかいまいち分からない。木で鼻を括って、括って、ピノキオくらいになった挙句、「あ、そういえばここもピノキオっぽくしといたから」と言って、肩をポンと叩いて去られる感じがある。しかし、机の上には治し方とか予後の過ごし方が丁寧に記されたメモが残されていて、一連のなんだかよく分からない事態が収束して元に戻っていく感じ。しかも、SFだったのである。私は何回、階段にはまって動かなくなったソファから転げ落ちればこの驚きを表現できるのか分からないが、SFだったのである。それで思い出したが、そういえばこの本は河出文庫から出ているのだった。あぁ。どうすればいい。この宇宙は自分で完結していて、しかもよくできている。感想としては間違いなく「面白かった」なのだが、主体的に面白かったのではなく客体として、もっと精確に言おうとするとただ眺めているしか他に方法がなかった人間として面白かったのだ。トンチキSFではあったがトンチキではない。ユーモアが海より溢れて山より壮大なインテリとは、もしかしてこのような形を取るのだろうか。一体どうすればいいのか分からない。これはドラマになっているらしいが、これを並の人間が映像化してもサムいだけになりそうだが、大丈夫だったのか? 本当に? 大丈夫だったと電動修道士に代わりに信じておいてもらおうか。痺れを切らして別の本屋に探しに行き、ないのか、ちぇっ、と思って檸檬の代わりに舌打ちのひとつでも残していこうかと考えた矢先に、銀河ヒッチハイクガイドが挿さっていた。一巻しかなかったが。1しかない本屋と、2・3・4しかない本屋と、もしこれで5しか置いていない本屋があったら、お前たち相互に補完し合うんじゃないと暴れ回りそうなところだ。とりあえず、頭がぐにゃぐにゃになったところで、銀河でヒッチハイクしに行こうと思う。