他愛がない

日記が置いてあります。タイトルと中身はあまり関係ありません。短編小説も書いてます(https://kakuyomu.jp/users/mezounagi/works)。 twitter:@mezounagi mail:mezounagi★outlook.jp(★→@)

足の速い水元素

冷蔵庫の中には、それが存在することを完全に忘れているものがある。めんつゆが2本あることを知ったし、そういえば白だしを買っていたことも思い出したし、中段奥の方に内臓を破壊するオイル漬け唐辛子の瓶も鎮座していた。とにかくなんでも、日常動作がルーチンへ堕落していくので、そこに組み込まれなかったものどもは(こういう時に、日本語には明確な複数形がないことの不便を感ずる)なかったことになってしまう。買った当初は思い入れたっぷりだったはずが、たちまち乾涸びる。野菜をめちゃくちゃ食おう、という微弱だが確かな強迫観念がどこから来ているのか、現段階では把握できない。精神が使い物にならないし当てにならないなら、せめて肉体だけでもまともにあれ、という生物としての根源の要求かもしれないし、ただ我知らずお野菜大好きになっただけの可能性もある。椎茸が魅力的に映る。肉厚で旨味が出てきそうな感じが好きなんだと思う。旨味が出てくるかどうかはこちらの料理の腕に依るにしても、椎茸はなんだか素敵だ。もがれてパックに狭苦しくラッピングされた姿にそう思うなら、駒木に生えた、茸然とした椎茸の姿にはどう思うのだろう。菌の字でも「きのこ」と読めることを知らなかった。きのこの専売特許とするには傲慢が過ぎる気もするが、でも、そうでしょう、と詰め寄られたら認めてしまうくらいには彼らの字かもしれない。内面の言葉が枯れていて、すごく不安だ。雨が降って冷たかった。この前カーテンを開けたら、日中は部屋が明るいんだ、と当たり前のことを再認識してショックだった。でも寒いのでまた閉めた。