他愛がない

日記が置いてあります。タイトルと中身はあまり関係ありません。短編小説も書いてます(https://kakuyomu.jp/users/mezounagi/works)。 twitter:@mezounagi mail:mezounagi★outlook.jp(★→@)

桃太郎さん、お腰につけたポン菓子、ひとつ私にくださいな。

誑かすという漢字は、とてもいかつい構成である。言葉で狂わせる、これを一文字にまとめると誑かすになる。今の時代に、ボードレールの詩を読んで自殺する青年がどれくらいいるのかは分からないが、甘言でもって道を踏み誤らせる、というのはいつもどこでもある事だ。「みんなやってるよ」「すぐ痩せられる」「頭がスッキリする」「さきっちょだけ、さきっちょだけだから!」などがその類に属する話だろう。「狂」という字が入っているのが、既に「誑」が内包するエネルギーの暴力性をほんわか匂わせている。壁一枚隔てたすぐ真横でリフォーム工事が施行されているらしく、dやg、bといった子音を用いて表される暴力的な騒音が夕方頃までほぼ間断なく鼓膜に喧嘩を売りに来ていた。静か、ほぼ無音でないと物事に集中できないため、精神の軸ががったがったと大きな振れ幅で侵されていた。多少の騒音に対しては耐性があるつもりではいたのだが、あんな音をぶっぱなされて続けていたのであれば、遅かれ早かれ正気のネジが飛んでいってしまうだろう。それほどまでに可愛げのない、そう、可愛げのないノイズだった。今日で全行程が終わったかどうかは分からないので、もしかしたら明日もまた、ただ空気が振動しているだけなのにどうしようもない苦痛をもたらす現象が真横で発生するかもしれない。ただの物理現象であるが、されど物理現象である。財布のベロに挟み込んでいた、マクドナルドのクーポン券の存在を思い出した。クーポン券という言葉には、思わず口にしたくなる可愛らしさがある。ハローキティが「クーポン券」と言っても、ミニーマウスが「クーポン券」と言っても、可愛いねと処理できるくらいには可愛いという概念に親和していると思う。ハッピーハピネス夢の国の住人にそんなしみったれた生活感丸出しの単語を口に上して欲しくはないが、ハローキティのポップコーン供給筐体が「クーポン券はいかが?」と言っていても違和感がないだろう。そういう事である。思い出したので、マクドナルドにヒーヒーダブルチーズバーガーを食べに行った。辛いものは苦手だが、蒙古タンメン中本くらい情け容赦ないものをマクドナルドが出してくるはずはない、という思いなしに基づく行動である。注文する前にトイレに行ったら、洋式であるにもかかわらず、便座の上で小便雫が蒸発した後がなく、ここは客のマナーがよい店舗なのだなと窺い知れた。清掃の直後だった、というだけかもしれない。ヒーヒーというくせに、それほど辛くなかった。あと、ハバネロソースの色が安っぽくてなんか嫌だった。次行くなら普通のダブルチーズバーガーを食べる。誰かと猛烈にファミレスに行きたい気分だったが、そんな人がいなかった。