他愛がない

めぞうなぎと申します。文字の話です。日記が置いてあります。短編小説も書いてます(https://kakuyomu.jp/users/mezounagi/works)。 twitter:@mezounagi mail:mezounagi★outlook.jp(★→@)

これで空を飛び太陽に侵犯できるかというと

買ってきたまま消費期限を4日くらい過ぎたものの、密封されてるから多少は大丈夫やろと舐めくさして周回遅れで冷凍庫にぶちこんだ豚ヒレブロックの処理をした。時候柄というか何というか、それなりに筋肉質な人の腕くらい長さと太さはあったが、一晩冷蔵庫に安置しておくだけでぺにょぺにょに解凍できていた。真空処理された袋に包丁を突き立て、溢れたドリップを排出する道筋を作る。肉塊を傾けたり袋をしごいたりしていると、どう捉えればいいのか分からない、正体不明の感情に囚われる。袋をかっ捌いて中身をずるりとまな板の上に引き出すと、すらっと細長いヒレブロックが抱き合う形で2つ入っているのだと判明した。道理でムキムキに太かったわけである。すっかり解凍されているにしても、まるで豆腐を切るかのように、さすがに豆腐を切るかのように夕餉の風景のBGMを奏でられるわけではないが、ほぼストレスなく刃が進む。何かの膜や筋にかち合うと、多少力技で突破しなければならなかったけれども、切る段階では史上トップ10に入るくらい、切るに容易い肉だった。冷凍のために切り分ける処理が終わると、シンクが濃いピンクの肉汁でべたべたに汚れていた。だらしがないなあ、と思いながら、スポンジの裏面に洗剤をつけて、さすがに生肉の汁を放っておくと食中毒か何か細菌感染とかディスアドバンテージになりそうだから、科学の力で葬り去った。下水に流れて行ったあの豚の血は、処理場を経ていつか、シャワーの水やら何やらになってこの頭の上に降り注ぐのかもしれない。切るのは柔らかくてダメになりそうなくらいだったくせに、焼くと結構硬くなった。ヒレなので鶏胸肉やささみみたく脂分が控えめ、もっと言えばゼロに近く、パサパサとして歯応えと、確かに肉を食べているという実感を顎の疲れとしてもたらしてくれた。死んだ顔色、紙のような白だった。どんな炒め物にも入れておけば味が決まるので、山椒辣油は優秀である。目覚ましが鳴り出すよりもちょっと早めに目が覚めて、頭を後ろに引く気怠い重力に従いながら窓の白みをぼんやりと見ていたような記憶がうっすらとあって、次の記憶に接続されると、またぞろギリギリ間に合うか間に合わないか絶妙なdead heatレースを繰り広げるような時間に意識が再起動した。大体朝はこんな感じのリズムとノリと勢いで生活しているが、朝に余裕があったところで何か生産的な事をしそうにも思えないので、無駄を睡眠という別の無駄カテゴリにずらしているだけと考えれば、悪くはない。効率だけを追い求めると疲れるので。