他愛がない

日記が置いてあります。タイトルと中身はあまり関係ありません。短編小説も書いてます(https://kakuyomu.jp/users/mezounagi/works)。 twitter:@mezounagi mail:mezounagi★outlook.jp(★→@)

ダンプカーは英語でtip carらしい

ごま鍋のスープを沸騰させると、液中のごま成分が凝り固まって水面におがくずのパレードが出現して面白い。やり過ぎるとカスカスしたごま粒子が鍋にこびりつくので楽観してはいられないのが欠点だが、鑑賞に値するものでもないので別に良い。机に向かう時のための椅子の他に、台所にもう一つ椅子が置いてある。机から台所まで歩いて10歩もないので椅子が全く不要だと思わなくもないが、もともとある程度汚れる前提の台所で料理してそのまま食べるので、汚損の機会が減っていいものである。団欒とかないし。ごま鍋の腐った生コンみたいな色を見て、小学校の裏門を出たところにあるドブの匂いを思い出した。いつも流れが死んだように淀んでいて、浅く黒が堆積し、触ったら膜が丸まますくい取れるのではないかと思える、白く日に照った油が張っていた。異臭のするものはおよそ何でもそうだが、どうしたらそんな匂いが生成されるのかと問いたくなるような刺激的な腐臭を発していた。私はそこを通ってはいなかったのだが、ドブに満ちた側溝はある地域の通学路の一部であり、たまに校外学習で裏門から出発する事があると、何という事もなく子供心にそそられるものがあって覗き込んだ。様々な化学変化を経て、もはやオリジナルの物体が分からなくなった吹き溜まりは、べったりと記憶にこびりついたままだ。歯ブラシを取っ替えたのだが、新しい歯ブラシを口に入れるたびに、古い方の毛がいかにヘタれていたのかが分かる。歯ブラシの毛なんて、相当程度経たないと劣化が目に見えないものだから(ものすごく放って置かれていると毛が黄ばむ)、ひと月ふた月程度では気にも止まらない。おニューの歯ブラシは、薬局で「かため」のブラシを探したところそれしかなく仕方なしに購入したちょっと値段の張るいいやつなのだが、口に入れて唇をすぼめた時に当たる部位がこれまで使ってきたモデルと比べて格段に太く、異物感がすごい。ヘッド部の柔軟性を実現しようとしているのか知らないが、うにうにとウェーブ状のシェイプになっていてボリュームがすごい。じきにこの太さにも慣れて、次に細いネックの歯ブラシを買ってきたら細い細い物足りないと言い出すのかもしれない。頼まれた仕事が終わったのでとりあえずひと段落したものかと思ったら、また変なタイミングで不穏な知らせが飛び込んできた。目の前に氷塊が迫ってきてから警笛が鳴るような船には乗りたくないのだが、遠洋航行はそれが叶わないものだから大変だ。