昨日、疲れていたくせに魚の死体についてそこそこの文字数を費やしたので忘れていたが、人生で二回目の朝マックを食っている。一回目はイギリスのマックで食った、パンケーキ3、4枚とソーセージ1枚、底が深いアホみたいなメープルシロップがついたやつ。名前は一文字も覚えていない。マフィンが好きなので、朝マックのメニューはかなり魅力的ではある。マックグリドルと、おぼろげな記憶では、エッグマックマフィンを食べた。普段食べるハンバーガーよりもよほど熱々で、朝の方が出来たて感がものすごかった。エッグマックマフィンの方は、あんまり特筆するようなところはなかったが、初回の記憶が補正を掛けているのか、マックグリドルはすごかった。別掛けではなく、マフィンの色が茶色ばむくらいシロップがじたじたになっていて、中の肉が自分では恐ろしくて絶対にここまでやらないというくらいにしょっぱかった。甘さとしょっぱさが口の中でぐるぐるし、そして別に融和する事なく、二項対立がラインダンスを踊りながら腹の底へ消えていった。あと、コーヒーはやっぱりそれほどおいしくなかったので、次は牛乳でもつける事にする。この事実を知ったのは数週間前だけれども、衝撃的でずっと覚えているものがある。開高健の食い物エッセイを読んでいると、よく「三杯酢」というものが出てくる。私はこれについて全くの無知であり、酢が三杯と、あと何か調味料が入っていて、酢の割合が一番多いから三杯酢という名前なのだろうなとぼんやり考えていた。人と話している時、この三杯酢の話題になり、そういえば二杯酢というものもあるなと思い出し、一緒に調べてみると、三杯酢というのは、醤油、みりん、酢を等量ずつ混ぜたものであり、つまり1+1+1=3、3杯入っているというわけで、それらの調味料を酢が代表して「三杯酢」の名で呼ばれているらしかった。諸説あった気がするが、まあこんなもんだろう。二杯酢は一体どの調味料が抜けるのかという謎当てもやり、私の予想は的を外しておらず、味に一番影響のなさそうなみりんが抜けるという事であった。この話をした前日くらいに醤油をちょうど切らしており、今日、ようやっと買ってきた。ので、一体何をそれで食べるのがよいのか分からないけれども、三杯酢を実食する環境は整った。エコバッグの下の方で、明太子のパックに酢の瓶がのしかかり、中身がぶちゃっとはみ出し、汁をしとどに垂らし、ズボンはおろか下着を越して私の尻まで液がぬたぬたしていた。尻から明太子の匂いがしたのは人生で初めてである。