詳細不明の内的原理の働きにより、普通に朝ご飯を食べるのが嫌になったので、クーボンをぺりぺりちぎって朝マックを食べに行った。「ぺりぺりちぎる」というのがミソである。なぜなら、現代生活において、マックの紙クーポン以外にあのぺりぺりを要求される作業はないからである。なんならマックでもあのタイプのクーポンをもらうことは稀である。ともかく、あの破れそうでぎりぎり破れない、でも端っこがちょっと破れてしまうクーポン切り離し作業に従事し、ペーコンエッグマフィンを食べ、虚空を見つめながら、みんなスマホ見るかイヤホンしてんな、と思っていた。ラテを頼むと、カップの内側に泡立った残骸がべっとり残るので、もったいね〜と思いながら捨てている。でもあれを舐めるほどの心性を獲得することは、人生でないだろうという気がする。アイスクリームの蓋の裏側を舐める、の数十倍に匹敵するいやしさ、いや、何と言えばいいのだろう、まだ名前の与えられていないそれが必要な行為なのだろう、あれは。あとは死んだようなものだった。昨日やろうと思っていたことは別にやらなかったし、銀河ヒッチハイクガイドをまた一周してしまった。ほとんど無害は、最後の方がとてもいい。もし死んで、その後に天国があったら、そこにはダグラス・アダムスがいるんだなあ、とぼんやり思う。2メートルに届かんとするくらい背が高かったらしい。食べ物としては好きだが、煮物を作るのはいささかならず下手くそだな、と気付いた。