他愛がない

日記が置いてあります。タイトルと中身はあまり関係ありません。短編小説も書いてます(https://kakuyomu.jp/users/mezounagi/works)。 twitter:@mezounagi mail:mezounagi★outlook.jp(★→@)

豚海道中膝栗毛

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肉である。ご覧の通り、めちゃくちゃに肉である。肉塊と言ってもいい。いまいちサイズ感が伝わらないかもしれないが、キッズのあんよくらいの大きさはある。行儀悪く突き刺さっているフォークから、大体のスケール感を想像して欲しい。ついでに言うと、写真のファイル名も「肉.jpg」である。んで、これが何の肉かというと、豚の「膝」である。人生で初めて食べた。これっきりの体験かもしれない。ふらりと立ち寄った肉屋で見知らぬ肉が売られていたので、尋ねてみると、豚の膝だった。腿、肩、腹などはメジャーだとして、豚のお頭が売られているのも見た事があるが、膝という部位には初めて出会った。片膝ひとつで、300円ぽっちとかそこらの値段で買えた。よく分からない馴染みの薄い部位なので、安いんだか高いんだか分からないが、非日常的な経験ができるという意味では安いのだろう。どう調理すればいいのか肉屋の人に聞いたら、「オーブン180℃で90分」という事であった。今いるところにオーブンが存在していて助かった。これをフライパンで加熱するとなると、火加減やらなんやらで手間と時間がかかっていただろう。オーブンに感謝だ。持って帰ってから食べるまでに時間がなかったので、ヤケクソに塩胡椒を振って簡易な味付けを施し、すぐにオーブンにぶち込んだ。その後は布団にぶっ倒れて意識を失っていた。90分後、取り出して見ると、思ったよりも脂が出ていない。トイレに行ってしまった後に「おしっこ出してください」と検尿を要求されて、仕方なしにひり出したお小水くらいの量しか出ていない。あまりジューシーな部位ではないようだ。フォークを突き刺してみると、見た目よりもずっとしっかりぎっしりした感触が返ってきた。どうやら、かなり締まったお肉らしい。いただきますしようとしたところ、並みのナイフでは全く歯が立たなかったので、包丁を持ってきてばっさばっさと薙ぎ倒す、もとい切り分ける手段に訴えることにした。実際、とても「硬」いのだ。包丁でさえもなかなかに難儀するほどで、よく考えるとこの肉は膝に相当する部分であり、人間だってその辺りは体を支えるために結構な筋肉が存在しているはずなのだ。これほどまでに食べづらいのは道理であった。懸命に細かく切り出し口に運ぶと、ぎっしぎっしとでも言おうか、芯と繊維の有り余ったしこしことした食感が顎を殴ってくる。とても食べるのに疲れる。シーズニングは塩と胡椒だったが、そのせいもあるのだろうか、砂肝みたいな味がした。鶏の。砂肝。食感もそっくりだ。あれほどじゃりじゃりはしていないが、顎のタフネスを削ってくる感じは近しい。しっかり焼けば皮も食べられるかと思ったのだけど、包丁の刃が入らないほどにはぷるんぷるんしていて、無理だった。ついでに、皮の裏側の脂、これはマズくて、脂のチューインガムを噛んでいるかのようだったので、すぐにぺっさせていただいた。写真でも、皮の付近は白いと思う。それが脂だ。もっと上手く料理すれば、いい感じに食べられる気がする。豚のニーキック、ごちそうさまでした。