風にもがれたつつじが、道路の上をころころと転がっていた。道路脇に沿って、延々とつつじが植え込まれていた。転がって、転がって、ちょうど車もバイクもトラックも通らず、反対側の路肩にぶつかって、そこでしばしうずうずした後、止まった。道路側の路肩にも、歩行者側の路肩にも、居場所を失ったつつじの欠片がたくさん横たわっていて、これはこの季節の風物詩なのかしら、と思った。それとも、風の強い日であるから、ただ、たくさんもがれて、たくさん流浪したというだけなのか。つつじは、金木犀と違って、花が落ちて腐ったところで覿面に臭いわけではないから、あのまま、雨や風に打たれながら、ゆっくりと黒ずんで、少しずつ形を失っていくのだろうか。なんか考えていた事があったような気がするが、忘れた。つつじのあれそれの事しか携帯のメモ帳にはなかった。キャリアショップの店頭に、ガラケーは何年にサービスが終わります、スマホに乗り換えましょ！ みたいなチラシがちらほら見られるようになってきて、私としては大変悲しい。ガラケーとスマホを一台ずつ持っているわけだが、正直どちらも本来の機能としてほとんど使っていなくて、最低限のプランで契約しているから、ガラケーのアホみたいに安い値段がなくなるのはやや困るのである。オリーブオイルと鷹の爪を買って、鷹の爪はしばらく欲しかったのだが、買い物に行くと大体忘れていたのと、ちょうどいい手頃なサイズが見つからなくて足踏みをしていたのが小袋でちっこいやつが見つかった、チョコチップクッキーと、アイスを４つくらい買った。スーパーカップ３つと、爽をひとつと。爽は、私の弟の名前になるかもしれなかった候補なので、思うところがあると言えばあるし、ないと言えばない。結局採用されなかったというか、電話口で聞かれた時にちょっとそれはなあと思ったからである。呼びづらいし。カスタードクッキークリーム？ みたいな変り種があったので、それは買ったはずである。お菓子の貯蔵レパートリーを増やしたかったのか、それとも、今日は最近にしてもとみに暑かったから、無意識下では強烈に冷たいものを欲していたのか。700円くらいの、ちょうどいい感じのパフェとか、おしるこみたいなやつとか、そういう甘味が食える、フラッと入れる場所が欲しいのだが、あいにくと近所に、歩いている記憶の限りではない。甘味を廉価で、というのは、現今ではもはや成立しないものなのかもしれんなあ。
