他愛がない

日記が置いてあります。タイトルと中身はあまり関係ありません。短編小説も書いてます(https://kakuyomu.jp/users/mezounagi/works)。 twitter:@mezounagi mail:mezounagi★outlook.jp(★→@)

汚れ役が被った汚れは誰が落としてくれるのか

台所を掃除したら、スポンジが形容し難い色になった。水垢なのか、有機物が部分的に堆積した結果の成れの果てなのかは分からないけれど、あの赤とオレンジの中間、くすんだ色を見るたびに、頭の中で「富栄養化」が電光掲示板に流れる文字列のように掠めていく。水回りは、水がゆえに、常にびしょびしょな状態にあるので、その手の汚れが繁茂しやすい。掃除するには、いたちごっこの徒労感から諦めそうになる心を奮い立たせる意志が必要だ。悪はこの世から撲滅せねばならないという正義の味方の心境をほんの少しだけ垣間見る事が必要なのだ。いつ買ってきたのかさっぱり覚えていないメラミンスポンジが少し残っていた。ハサミで切り分けると、結晶みたいなカスが散らばるのが気になるが、物理戦においてはメラミンスポンジは無類の強さを発揮するアイテムだと思う。さすがにケミカルな薬品相手には分が悪いにしても、手で持って水をつけてただひたすらこするだけで汚れがさくさく落ちていくのは気持ちがいい。汚れの程度・種類によっては同じ箇所をひたすら3分ほど無心でこすり続けなければいけなかったりするが、ビフォーアフターを比べてみると「掃除したね!」という手応えが一番強い。メラミンという響きも可愛い。ポケモンみたい。ベトベトンに強い。生牡蠣を食べたが、お腹を下す事にはならなかった。私の親戚に、食べる牡蠣食べる牡蠣全て当たる人がいる。運が悪いのか行く店が悪いのか分からないが、あれほどのリスクを冒してまで生牡蠣を食べたいかと聞かれるとノーである。噛んでいると貝類が持つ特有の臭みが立ち上って来るので、あまり咀嚼が進まないうちに呑み込まなければいけない。しらすの踊り食いと一緒で、喉越しを楽しむためのものなのではないか。満腹中枢は顎の運動で刺激したいので、またしばらく生牡蠣にはお目にかかるまい。ゴテゴテして無骨な殻に、病的に青白い中身が乗っている様はアンバランスで面白かったけど。さっき、ゴミ箱の後ろでカサカサするちっちゃい虫を発見した。なんとなく、生き物としての直感が、「間違いない、こいつはGの血族だ」と教えてくれた。あの図太さと旺盛さを兼ね備えた生命力は伝わってこなかったけれど、各部位の質感から、間違いなかろうと結論された。今の家に引っ越してきてから、初めて目にするGの血族だった。一匹いたら、の句の続きは思い出さないように努めながら、丁寧にティッシュに包んで押し潰した。戦争の刻は近いかもしれない。