他愛がない

日記が置いてあります。タイトルと中身はあまり関係ありません。短編小説も書いてます(https://kakuyomu.jp/users/mezounagi/works)。 twitter:@mezounagi mail:mezounagi★outlook.jp(★→@)

情けは人のためならずんば虎子を得ず

近所のラーメン屋が知らない間に新メニューを出していたので、食べに行った。旨辛激辛と併記してあったから、辛さが二段階あって普通と通向けと選べるのかと思ったが、旨辛にして激辛、旨くて辛く激しく辛いという性質の同時並存の記述であって、バリエーションの事ではなかった。ベースのスープが辛くなっていて、上に辛く調味された挽肉が乗っていて、まあ辛かった。中本みたいな暴力ではなく、常に5〜7割の辛さでぺちぺちやられる感じ。一撃でダウンはしないが、後半に進むに従ってダメージが蓄積したため、鼻をかみつつ水を飲みつつ食べていた。熱いものないしは辛いものを食べると鼻水が出るため、熱くて辛いものを食べると単純計算で二倍鼻水が出る。あの店ではいっつも紙ナプキンを5枚くらい使っている。鼻水が出るから。おいしく食べられはしたが、食うという行為に必要となる精神的エネルギーが他のメニューに比して多かったため、もう一回食いに行くかどうかは怪しいところだと現時点では判じている。帰り道、口の中がびりびりしてちょっと痛いな、激しいキスってこんな感じかしらなんて考えていたが、キスの味について数え上げてみると、そんなに種類がない事に思い当たる。甘いキス苦いキスはまあ比喩的表現であるものも含めてありうるが、酸味のあるキス、旨味のあるキス、辛い(からい)キスは聞いた事がない。旨味のあるキスは、字面だけ見たら魚みてーだけど、新感覚・口移しグルメ漫画が始まる際に設定としてあったりなかったりするかもしれない可能性が微弱ながら残されているにしても、酸味のあるキスは、どうだろう、レモンタブレットを食べた後のインピオキスシーンで出てくるかもしれないが。口移しで酢を飲むわけもないだろうしな。レモン味のキッスが、それに該当しなくもないのかしら。そもそもキッスに味なんて求めるものではないと言われたらそれはそうであるが、濃厚でありながら後味は爽やかに消えて微妙な余韻を感じさせるみたいな、具体的かつ饒舌なキッス評論家的文章が読みたいという私の気持ちなのかもしれん。料理の味を具体的な表現に持っていこうとすると、身体感覚とどこかで繋がり、なぜか料理の感想を述べているのに大事なところが見えないようになった素っ裸でキラキラした背景をぐるぐるするみたいな表象を呼び起こすのではないかと思ったが、キスの味を叙述しようとすると、それに至るのと逆の進行方向でそうなるわけか。