歯を抜いた（その２）。今日は上の歯がなかなか抜けなくて、ついでに手が空いている人も少なかったらしく、介添の人がちらちらと立ち代わったのだけど、二人目の人がよう喋る人で、「立派な親知らずだね〜」とか「根が４本あるとか珍しいね〜」とか言っていた。ついでに、歯の根っこは４本あって、それぞれに術語の名前がついているのも知った。何て言っていたかは覚えていない。なぜなら術語とはそういうものだからである。先っちょも先っちょ、折れた根っこがなかなか抜けなくて、それだけで３人くらいの歯科医先生が20分ほど格闘していたのは、人体の玄妙さというか、そんなものを感じた。実物を見ても、しょうもないくらいちっちゃいのだが。あとは、やたら疲れる作業の手伝いをして、やたら疲れた。具体的に疲れるわけではなくて、抽象的な、形而上のエネルギーを奪っていくタイプのそれだった。前より抜歯痕が少し痛い。風が冷たい。
