雨が降っている音や気配を一切感じなかったが、屋根から水滴が垂れていて、洗濯物数点がびっしょびしょになっていた。布に含み切れずにぽたぽたとこぼれるほどだったから、要するにめちゃくちゃびしょびしょである。洗濯機から出したばかりのそれはまあそういうもんなので許せるが、それ以外のびしょびしょは生理的になんか嫌だ。時々生成される、妙に長っちょろいヒゲが抜けた。にょろりろりん、という感じの長さである。木の根っこが、地中の石や建造物に妨げられて、無計画に根を伸ばしているようなものなのだろう。ヒゲの研究、というのもこの世には存在するはずだ。その中にはこういう個体(毛体?)を扱ったものもあるかもしれないし、別にそうでもないのかな。外に出たような気がしていたが、全くの気のせいだった。何もしてなかった。私は一人にならないと何もしないが、一人になっても何もしない。どうすればいいのか。