代用品

一日中、眼の裏に眠気が張り付いていて、そろそろ輪郭が見え出すな、くらいに回転数の落ちた独楽みたいに、ぐら、ぐら、と意識に寄りかかり、遠のき、繰り返していた。数ページ読んでウトウト、起きて数ページ読んでウトウト、を繰り返す開高健の生活を読んでいると、ああ、これはいいものだなと思いながら、ぶよぶよに寝ぼけた頭で考えた。私はこれから先の人生で、ずっと開高健の本を読み続けるだろうが、その理由が今のままなのか、それとも姿を変えるのかは分からない。しかし、私にとっても窓ではあり続けるだろう。