駅の広告でアンリ・マティス展のポスターが出ていて、わあ、アンリ・マティスや、名前は知っとるけど肝心の作品はいっかな出てこん、と思ったのだが、ポスター英字のHenriを見てなんじゃこら、と首を傾げた。多分名前の部分なので「アンリ」がそこに相当するはずだが、しかし君は綴り的にあれだね、まで考えて、フランス語(多分)なのだと気付いた。基本的にHは読まず(読むHもあり、まあ言語とはえてしてそういうものだ)、enが鼻母音あんになるから、要するにそれでアンリなわけだ。フランス語は文法だけやって何にもならなかったが、時々覚えていると役に立つこともある。これを役に立つと言うのかね? しかし、こういう小さな発見をかき集めて、しらすの彫像のようになったのが私の精神風景であるから……。