他愛がない

日記が置いてあります。タイトルと中身はあまり関係ありません。短編小説も書いてます(https://kakuyomu.jp/users/mezounagi/works)。 twitter:@mezounagi mail:mezounagi★outlook.jp(★→@)

目が身体当て

理想のトマトが、ペットボトルで売っていたので、買った。1リットルで300円、飲み物にしてはかなり値が張る方である。前は紙パックに入ったものを飲んだから、液体の総体としてそこにあるのは見えなかったのだが、コップに注ぐ時の、どぷどぷして、ダマになって零れ落ちる感じに、何かの小説で読んだのか読んでないのか、経血を連想した。実際のあれはもんのすごい匂いがするので、比べるべくも無いのだが、世界認識における嗅覚の設定をOFFにした場合、遠目に、眼鏡を外してみたら、間違えるかもしれないなと思った。私は、メノフィリアが存在する事に、一片の疑いもなく納得し、首肯する。気持ちはとても分かる。髪を切った。いつもの床屋に行ったら、あれは理髪店とか美容院とかいうのではなく、床屋という名詞がずばり当てはまる気がする、するだけだが、入り口の待機ソファに二人いて、あ、ちょっと待つのかなと思ったが、スタッフのおっちゃんだった。切り始めてからしばらくして、客は私だけだった。今日切ってもらった人は、確か初めてだが、視力として全く信用ならなくなった裸眼で、顔剃りの時に間近に来たから確認できた名札には、店長と書いてあった。あぁ、そうか、この人がここの店長なのだなと思った。ゆったりとした、せせこましいところのない人だった。本屋に行った。なぜか欲しくて堪らなくなったので、広辞苑を買った。危うく机上版を、なんでこんな高いねんと言いながら買いそうになったが、廉価版というか、机上版はいいやつで、普通の方があって、それでも9000円+税とかしたはずだ。象徴界のひとつのセクションについて、それが実体化した形で所有してしまったので、これで満足して、精神活動が死滅する可能性が少なくない。恐れている事態だ。他にも、2、3冊買って帰れろうかと思ったら、会計が15000円くらいになった。本屋に行くたびに、節度を欠いている。ブラッドベリの『華氏451度』の翻訳があったので、買った。Something Wicked This Way Comesの邦訳もあれば、ぺらぺらして一種の「答え合わせ」をしてみてもいいかと思ったのだが、そもそも翻訳はないらしい。他はいっぱいあったのになぜだろう。電気羊はなんちゃらかんちゃら、と同じで、SFの古典的名作と言われながらにして、タイトルしか知らず、内容について思い馳せた事がないのに気付いてびっくりしたのだが、これは紙の燃える温度であって、焚書のある世界が舞台なのだそうだ。背表紙のあらすじ欄に、「SF界きっての抒情詩人」とあるが、日本語として中身を持ち損ねた抒情詩人という言葉を持ってきて、ブラッドベリの文体を評するのは、怠慢だなと私は思った。これは詩ではなく、厳然たる散文である。