暑い。日傘を差して歩いた。日傘を維持する筋肉が運動しているので、直に日光を浴びるのと比べて、どれだけ軽減されているのだろうかと怪訝に思った。でも実際に直射日光に溺れてみると、やっぱりそれはいやだった。本屋で少し本を買った。よく分からん本もある。今日は理性の働きがきわめて鈍く、目についてぴくっとなったものがそうだ。開高健の本を買ったが、カバーが俗っぽ過ぎて、なによりダサいので捨てた。カバーを捨てることはあまりない。二年か三年に一回あるかないかだ。それくらい、ちょっと、お粗末であった。世のほとんどの本は、装丁に関しては見るに堪えるものであることを考えると、デザイナー諸氏のお仕事に敬意を表するべきだろう。ゴミ袋と料理酒を買い忘れた。二度目だ。三度目かもしれない。忘れている。帰って、ゴミを捨てる段階になってようやっと思い出した。拡張現実が生活レベルまで浸透したら、手の甲ちょっと上あたりにメモスペースが浮いていてほしい。人に見えるとちょっとよろしくないメモを残したい場合もあるのだ。
