昨日、本を買っていた。宇治拾遺物語の町田康訳が出ていたからである。口語訳というか現代語訳というか、くだけたような訳はおおよそなんとも受け入れ難い出来だったりするので見送りがちなのだが、町田康なら間違いないやろうと思って買った。でっかく表紙にもなったことがある、その顔写真が妙に記憶に残っており、学のある醒めた顔が、常にぬっとこちらを覗き込んでいるような気がしてくる。圧力鍋で手羽先をめちゃくちゃに加圧したら、とてもすてきなトマト煮込みができたが、肉が骨からずるりぼとりと落っこちるので、一長一短というか、肉を骨からひっぺがす戦いの感はない。なくていいのだが、なんだか寂しい気持ちもするのである。