他愛がない

めぞうなぎと申します。文字の話です。日記が置いてあります。短編小説も書いてます(https://kakuyomu.jp/users/mezounagi/works)。 twitter:@mezounagi mail:mezounagi★outlook.jp(★→@)

それは期待ではなく

朝起きると、これまでの失敗を取り返せと急かしているように、空が晴れていた。3回洗濯物を干し、3回洗濯物を雨にびっしょびしょにされた後の寝起きである。今日は勝てる、と思った。晴れの日のしるしが出ていた。L'Arc〜en〜Cielが「ピーカン」と呼ぶには白雲が少しくたゆたっていたが、それでも晴れていた。今日干さずして、いつ干すのか。晩のうちに部屋干しをしていた洗濯物を嬉々として洗濯竿に移していく。昨日散々期待した昨日は、本当に、何の足しにもならなかった。洗濯機についている風乾燥コマンドは、「しとしと」を「しと……しと……」に軽減する程度の効力しか発揮しなかった。金を払ってランドリーする以外には、お天道様の力を信じるしかない。長らく目にしていなかった心地さえする太陽を眺めながら、家を出た。安い洗濯機だと、風乾燥は何の意味もない。ただ騒音を撒き散らしながらドラムが回転しているだけで、風っぽい音が何も聞こえてこない。もしかして、ドラムの回転による空気との摩擦を風と呼んでいるのではないかと疑いたくなるほどに、何も起こらなかった。パルプンテに全てを託し、そよ風さえ起きなかったその時のように。地球の裏側では、誰かがトラックに轢かれていたりするのかもしれないけれど。用事先に行ったら、突然「いっこあげるよ」と柿をもらった。「これもいっこあげるよ」とヨーグルトを渡された。贈与主は、一見行動の意味がさっぱり分からないが、行動原理を聞くと「あぁ〜」と納得される、一筋縄ではいかない歯ごたえのある、あるいは歯に挟まる人物である。なかなかに結構な理由を突然聞かされたので、リアクションに困って「あぁ〜」と返す他なかった。突然暴投できるピッチャーは、もしかして強いのかもしれないと思った。日が出ているうちは、それはもう晴れていた。ラジオから10月並みの陽気です、とのニュースが聞こえてくる。明るい。気持ちよく乾燥している。家に帰り、パリパリの洗濯物を取り込む事を想像した。4回目の悲劇はごめんだった。そこからの帰り、以前それはもう全身全霊を捧げた場所に寄った。今は全くそうではない。かつて、「将来ここのためになればいいな」と私が心血を注いだ遺産が、チリ一つも石くれ一つも残っておらず、爆心地グラウンドゼロ状態になっているのを目の当たりにして、誠意とか親切心とか、そういうものが蔑ろにされると、虚しいものだなと思ってだるくなった。そこを出ると、雨が降っていた。またか、またか、またまたまたか、と思った。びしょびしょになる前に、なんとか家に帰った。急いで救出すると、洗濯物諸兄はすっかりしんなりしていた。濡れてはいなかった。そう思いたい。もういいや、と思って、取り込んだ。