他愛がない

めぞうなぎと申します。文字の話です。日記が置いてあります。短編小説も書いてます(https://kakuyomu.jp/users/mezounagi/works)。 twitter:@mezounagi mail:mezounagi★outlook.jp(★→@)

啓け胡麻

天啓を受けたので胡麻油を買ってきた。特段どの教えや宗派に属しているわけではないが、そういえば未だかつて自発的に使った事がなかったのを自覚したので、これはやるしかねえ、今しかねえぞと奮い立ち、奮い立つと言ってもせいぜい200円に満たない程度で買えてしまったのだが、胡麻油をお家にお迎えした。片手で握れるサイズの、暗器と表現できなくもないサイズである。引っ越したばかりの時に買ってきたクソでかいキャノーラ油の横に置いてみると、トトロとサツキがバス停で並んでいた時よりもさらにサイズ感のギャップがある。一人暮らしでこんなにいっぱい使い切れねえよ、使い切れるはずがないよ、とその瞬間に初めて油の容器のデカさを認識したのだった。そういえば、前住んでいた家で使っていた油は、捨てるのが面倒なので買ってから3年くらい放置されている期間があったのだけれど、表現しようがない透き通った茶色に変貌していて、新品を買ってきて横に並べるとその異質さが際立った。片やピチピチの思春期ユース、片や羅生門のてっぺんにいる土気色ババアだった。油は3年でそこまで変わり果ててしまう。人間の耐用年数は、馬鹿にできないんだか劣化が表面に一気に現れないだけで3年間の振れ幅は油と同じくらいなのか。分からないけれど。フライパンに胡麻油をさしたその瞬間に、むわっと油の匂いが、いや胡麻の匂いが、いや胡麻油の匂いが濃密に立ち上がった。俺の部屋がセサミキングダムになってしまうなと危惧し換気扇をつけたのはいいけれど、10分くらい炒めていると、胡麻の匂いは何処へやら、いつの間にかフライパンがいつもよりベタベタするくらいまで収まってしまった。胡麻油はどうやら短距離選手のようだ。仕上がりの直前だとか、漬けておくのには向いているのだろう。バーニングするとダメらしい。人参に含まれているカテキンもそんな感じだった覚えがあるが、熱を加えずに人参をどうやってよっこらせすればいいのだと思った覚えもあるが、その辺は世の中が上手いこと回っているからどうにかなっていたような気がする。昨日のことさえよく覚えていない。スーパーでレジを通過してから買い物袋にカゴの中身を移す作業場、確かサッカー(sacker)台という場所だったと脳味噌が仄めかしているのでそうかもしれないのだが、あそこで両脇の人のカゴがちらちら見えると、色んな人がいるもんだなあと思う。今日は完全に惣菜頼みな食生活をしている人と、気でも狂ったのかと思うほど栄養ドリンク・健康ドリンクを詰めている人がいた。