他愛がない

日記が置いてあります。タイトルと中身はあまり関係ありません。短編小説も書いてます(https://kakuyomu.jp/users/mezounagi/works)。 twitter:@mezounagi mail:mezounagi★outlook.jp(★→@)

of no persuasion

晴れだった。むっくりと包み込んできて、薄く汗が浮かぶような、粘性のある暑さ。空調をつけなくても過ごせるが、意識の端々にちらちらと暑さが現れてこちらを覗き込んでくるので、エアコンを稼働させたのは正解だったと思う。かと言って、生産的な日だったとはとても言えないのだが。家から歩いて10秒くらいのところにある、飲食店というにはあまりにこぢんまりしていて、そのくせ扱っている食材が高級そうだった店が閉店だか移転だかで工事をしていて、目と鼻の先そのものみたいな距離にあるのでその音が直に響いてくる。ドリル的なもので壁だか床だかをごりごりする音だとか、何かを破壊するような落下音だとか。暑いので窓を開けると、聴覚的に暑苦しい環境音がダイレクトにダイブしてくる。早く終わって欲しい。店頭に何か張り紙がしてあったが、家庭用プリンタで印刷したような目荒の紙がテープで適当に止めてあるだけで、しかも連日の風雨でほとんど剥がれてしまっており、字のポイントも小さいので何が書いてあるのかさっぱりだった。こういう場面で書かれそうな文言というと、ご愛顧いただきましてありがとうございました、解体工事でしばらくうるさいと思いますがご容赦ください、の2点あたりだろうか。引っ越した時から絶対行かないだろうなと思い続けてきたが、本当に全く行かなかった。店の中で暇そうにしている店主を見た事はある。立地もわけわかめなので、実際どれくらい客が入っていたのやら。よくわからん事を考えていたら時間が経っていた。バナナを買った。どれくらいぶりだ。夏の気温室温だとすぐさま黒くなってぐずぐずになって香ばしくなるから、これからバナナに対して優しくない季節になろうという時にバナナを買ってきてしまった。ただ、間食としてはバナナはちょうどいい。ヨーグルトだとその姿が薄く軽すぎる。カップ麺なんて食べてしまうと食のリズムが崩れる。適度に固形で、適度に腹が溜まる食べ物としては、バナナは一種の到達点なのである。仲のいいあいつが、かつてバナナの研究者になろうとか言っていたのを思い出した。今は全く別の人生にいるが、バナナが好きだったし好きらしい。ゴキブリにしろマンボウにしろ、ホンマでっかTVに凝縮されているように、どんなにニッチなものにも「専門家」はいる世の中だ。この専門家のスペクトルが広いのが問題だが、まあ。夕飯にエビを食べた。火を通す前のエビはぷりぷりして透き通って美味しそうなのに、火が通った後の頬紅みたいな橙色に作り物みたいな紛を感じる。