他愛がない

日記が置いてあります。タイトルと中身はあまり関係ありません。短編小説も書いてます(https://kakuyomu.jp/users/mezounagi/works)。 twitter:@mezounagi mail:mezounagi★outlook.jp(★→@)

油分のない指紋

突然寒い。急に寒い。先週の日曜日? あたりから兆候はあったのだが、それにしてもなんだか寒くて不思議である。秋の中途半端で過ごしやすい天気が、からくり部屋みたいに、どこまでもどこまでも、扉を開け続けても結局同じところに出てしまうみたいに続くものかと思っていたら、たちまち新しいルートに当たってしまって、面食らう。心の準備が必要だったのだが。流しの下から、夜毎にコツコツガサガサ、何かがぶつかったりうろつき回るような音がしていた。眠りに落ちかけた意識が、その音ひとつで水面に顔を出して、もしかして黒いやつか、またあの黒いやつか、と体温がぐんと上がるので睡眠が妨げられる事頻りであった。ので、これは早くに禍根を絶たねばならんと、4日目くらいにして、ようやっとゴキブリホイホイを設置した。ホイホイは、組み立てるたびに新しい発見があるというか、そもそも、工作として楽しい部類に入る。入るものだと、私は思っている。大元のでっかい厚紙を折り曲げて、中のネバネバエリアの保護紙をまくり、足拭きマットを貼り付け、真ん中に誘き寄せるための餌を置く。簡易だが、立派な工作である。小学校の工作の時間で、ゴキブリホイホイを作らせてみてもいいと思う。彼らも、きっと、人生のどこかでホイホイを作る事になる日が来るはずなのだから。今日は、しんしんと冷える玄関でホイホイを組み立てながら、この足拭きマットという部分、これは大変素晴らしいなと思いながらぺたぺた貼り付けていた。ゴキブリの足は油的なあれでぬたぬたしているから、不織布みたいな、油がよく拭えそうな布地を端っこに貼っ付けて、ネバネバエリアで確殺しようとするものである。ゴキの見た目が、ぶりぶりしたファンシーな絵柄で描かれながら、小さな厚紙の中に、ゴキを搦めとらんとするギミックがこれでもかと詰まっていて、よくできた箱庭を前にして、感銘を受けるかのような気持ちになるのである。それはそれとして、夜寝る時に、流しの下から、カタ、カサカサカサ、バタバタ、シーンとなる音が聞こえると嫌である。ごくたまに、ほいほいで捉える事に成功した音を聞く機会があるのだが、あのまま衰弱死を強要する(衰弱死するのだろうか? あれほどタフな生物が)のはちょっと忍びないなあと思ってしまう。ミミズだってオケラだって生きているのだから、ちょっと複雑な気持ちになる。料理酒がなくなってしまったので、次の買い物で足さないといけない。買ってきたばかりのニラが、早くもてろてろのとろとろになっていた。そういえば、ニラは、思った数段以上にやわな草だった。