他愛がない

日記が置いてあります。タイトルと中身はあまり関係ありません。短編小説も書いてます(https://kakuyomu.jp/users/mezounagi/works)。 twitter:@mezounagi mail:mezounagi★outlook.jp(★→@)

月見バーガーについて

濃厚な方の月見バーガーを食べた。持って帰る時、袋の中での角度がよろしくなかったらしく、ラッピングを剥いだ目の前に、ただ真っ黄色の壁がべん、と出てきて、何だこれはと思った。濃厚な方には、チーズソース的なのが入っていて、それが角度によって偏って流出してきたものと思われるが、それゆえ、最初の一口二口は、バーガーでもなんでもなく、チーズを食っていた。意図せず、「濃厚」と「月見バーガー」のふたつの部分に分解して食べたわけである。確かに濃厚ではあったが、「濃厚月見バーガー」ではなかった。チーズの塊を食っている時、イギリスで、ベーコンを焼いて、シュレッドチーズを溶かして食べた、存在するんだったかしないんだったか朧げな記憶が蘇った。味の方向性としては、あれに近い。というか、あれだった。バンズが黄色い理由が分からなかったけれど、卵とかなんか入っているのかしら。バンズを黄色くする理由が分からないのだが、何の理由があるのだろう。バーガー自体のテーマにバンズを寄せると、月見、あるいは月っぽさとして、色覚情報、つまり黄色が抽出されてきたという事なのだろうか。それにしても、月とはひとつしか空に浮かんでいないものであって、上下のバンズが共に黄色をしているのであれば、月がふたつある事になる。月がふたつあるパラレルワールドで産生された月見バーガーという事になるが、この世界ではそんな事はない。すると、考えられる仮説はふたつあって、「月(のモチーフ)を半分に割って中に具材を挟んだバーガーである」「上のバンズが実際の月を模しており、下のバンズは、上のそれが水面に映った風流な様子を表すための手段である」となる。前者については、それはもはや月見バーガーと言うよりは月バーガーであり、見る余裕もなく食っている。後者の解釈がよいように思われるが、一体具材のどれのどの辺が、月が映るような水面を表現しているのかを特定しなければならない。玉子、パティ、ベーコン、どれも月が映り込みそうとはお世辞にも言えないし、玉子に至ってはなんならもうひとつの月である。月&月&月バーガーであり、トリプル月バーガーだ。実際の月を添えれば、クアトロ月バーガーだ。どうも、それらの具材を調理する時の、油に月が映り込んでいる状況を想定するのが角が立たなそうである。どこに角が立つのか知らないが。したがって、月見バーガーとは、上が実体下が写像の食べ物なのであって、見た目からは思いもよらないほど思弁的な食べ物なのであった。